不良の場合
「あーだりぃ」
「どうしたんだい不良くん」
「いやぁ、今日って体育でサッカーあるじゃねぇか。俺サッカー嫌いなんだわ」
「そういえば運動嫌いって言ってたな」
「俺が好きなスポーツはインディアカくらいだぜ?」
「またマニアックな」
「早く家庭科の調理実習やりてぇ」
「…前から思ってたけど不良くんって物語によくでてくるような不良とは逆だよね」
「物語の不良ってのをまず知らねぇよ」
「典型的っていうの?喧嘩強くて孤高!って感じで、でも優しい一面があるみたいな」
「それかっこつけじゃねぇかよ」
「そうなのかな?不良くんは喧嘩強いけど友達たくさんいるし、普段から優しいし、頭もいいし…なんで不良って呼ばれてるんだ?」
「そんなこと俺に聞かれてもだな…。まあ、昔は俺も荒れてたからな。その名残だろ」
「あ、なんか物語っぽい」
「そうか?じゃあ昔話をしてやろう」
「やったー」
「小学生の頃俺にはとっても嫌いな奴がいた。そいつはクセのあるやつで何をしてもかなわなかった」
「そんな強い子がいたんだ」
「その頃から俺は喧嘩は強い方だったんだけど…そいつにはそんな力があっても勝てなかった。そんな俺を救ってくれたのがマヨネーズだった」
「なんでマヨネーズ?」
「マヨネーズをかけると今まであったクセが美味しく感じられるようになったんだ!」
「ちょっとタイム」
「ん?なんだ?」
「これなんの話?」
「俺の昔話だけど」
「マヨネーズ何にかけたの?」
「だからきゅうりだっつーの」
「聞いてねぇよ!なんで急にきゅうりの話なんだよ!てっきり俺には永遠のライバルがいる…とかそういうのかとおもったじゃん!」
「だから今時の不良はそんなエピソードねぇんだよ!」
「じゃあなんで不良って呼ばれてるんだよ!」
「前の学校で教師殴ったからだろーな」
「え、あ、そうなの」
「大体そんなもんだろ」
「は、へー」
「なんだよ」
「いや、不良くんが教師殴るなんて意外だなって思って」
「…ああ、物語の不良との共通点見つけたわ」
「え、今?」
「良い不良ってのは仲間思いなんだよ」
「…ん?不良くんは良い不良ってこと?」
「そーゆーことだっつーの!」
おわり