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一匹目

 勢いでやっちゃった……

 俺、「竜崎龍平」はドラゴンをこよなく愛する男だ。

 ゲームとか小説とかマンガに出てくる竜とその仲間達を愛している。

 某モンスターを狩るゲームでも竜種以外しか狩らない。

 もちろん好きな球団は名古屋に本拠地がある球団だ。

 もう、鱗ラヴなのだ!あの……すべすべでちょっと冷たい鱗の感触を愛でるために、わざわざ鱗に触るために、バイトして貯金をし、フィリピンのボホール島にあるアナコンダ園へ行き、アナコンダを首に巻いてもらうまでだ!

 だが、どんなに鱗好きでもこの世界では「鱗持つもの」の最上位のドラゴンが居ない。

 その憂さを晴らすために俺は古今東西のドラゴンや龍の資料やグッズ、フィギアを集めていた。

 ちなみに、爬虫類はねーちゃんが怖がるので家では飼えない……。







「むっ!ここはどこだ!」


 俺は近所にある熱帯動植物園の帰りに気が付くと、見た事の無い場所に居た。

 周りは霧に覆われていて遠くまでは見渡せない。


「……りゅうへい……竜崎龍平」


「俺の名前を呼ぶのは誰だ!」


 俺を呼ぶ声が聞こえると、あたり一面が光り、女が現れた。


「竜崎龍平ですね?」


「うむ!」


「私は世界管理神」


「ほう、神か」


「あなたは事故に会い肉体は滅んでしまいました。しかし、あなたはとある世界を救う勇者になっていただきたいのです」


 いつの間に俺は死んだんだ?

 ま、それより大事な事がある。


「その世界にはドラゴンは居るのか?」


「え?居ますよ」


「あなたが魔王を倒していただけるなら、私から勇者の職業と三つの祝福を送りましょう……」


「よし!今すぐ送れ」


「あ、あの三つの祝福は……?」


「ふむ、職業は勇者固定なのか?」


「い、いえ」


「じゃあ、俺の職業は「テイマー」だ!」


「モンスターとかを使役するテイマーですか?」


「おう!それと祝福とはなんだ?」


「神の与えたギフトスキルです」


「では、一つ目は……竜の眷属に与える愛……『ドラゴンチャーム』!」


「二つ目は……俺と竜達の愛の巣召喚……『ドラゴンハウス』!」


「三つ目は……」


 三つ目までのギフトスキルを女神に言う。


「わ、わかりました」


 俺は女神にドラゴン愛全開で交渉すると、三つのギフトスキルを貰った


「で、では、竜崎龍平よ、世界を救ってください……ち、ちなみに敵は魔王ですからね、ま お う」


 そう女神が言うと、俺は光に包まれた……。







 次に俺が目覚めたのは石造りの部屋の中だった。


「おお……成功だ」


「すばらしい……勇者様だ」


「姫様、やりましたぞ。これで国は救われる」


「謁見の間の準備を!」


 俺は周りを見渡した。

 何人かのローブを着た人間と足元に魔方陣が見える。


「異世界か」


「ようこそ「レスタール」へ勇者様。私の名前はテニスです」


 さっき姫様と呼ばれていた若い女が自己紹介する


「おう」


「すいませんがこちらへ、今から説明させていただきます」


 その女はそう言うと、騎士らしい奴らと一緒に俺を他の部屋に誘導する。







「こちらです……」


 と、通された部屋は城の謁見の間らしかった。

 赤い絨毯が入り口から奥まで続いていて、奥の方の一段高いところに豪華な椅子があり、えらそうなジジイが座っている。


「おぉ、彼が勇者か……これへ」


 俺は姫と一緒にそのジジイの所まで行く。


「ようこそ勇者殿。エル国、国王のギリアムだ」


「おう」


「今、このエル国を含む世界レスタールは魔王に脅かされておる」


「ふむ」


「そなた勇者には魔王を撃って貰い、世界に平和を呼んで欲しい」


「ああ」


「もし、魔王を倒したあかつきには、周辺国随一と言われる美姫、我が一人娘テニスを娶いこの国を治めてくれんか」


「ほう」


 ちらっと姫を見ると、俯いてモジモジしている。


「勇者様、あなたのお力で魔王と倒し世界を救ってください」


 姫は顔を上げると俺に言った。


「この辺りにドラゴンは居るのか?」


「ド、ドラゴンですか? たしか、王都の西の森に……」







 その夜、エル国の王城から勇者が消えた。

 血眼になって騎士や兵士などが捜索したが、元々、勇者の名前さえ分からなかった。

 エル国は「召喚した勇者に逃げられた国」として噂になり、5年ほどで滅んだと言う……。



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