表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/74

2連戦

今日でこの街にきて5日目。

今日はボス退治を予定していて、打ち合わせ通り順調に既に発見済みのボス部屋まで到着する。


森の奥なのに大きな石づくりの扉。

扉にはびっしりと蔦が生えていて、切り払わないと解錠も難しい。


こういった迷宮でもボス部屋には扉がついてるものなのか、というある種の驚きと共に蔦を払い、

鍵を開け、大きな音とともに扉を開ける。


鬱蒼とした森林で囲まれた、テニスコート2つ分くらいの割合広めな部屋。

隅のほうに数メートル、ヘタすると10メートルはあろうかという大きな岩がある以外は特に特筆すべき点はない。


入ってしばらくすると、ぶんぶんという音と共に、大きな蜂のような魔物ビエネが5体ほど現れる。

更に、3,4メートルはあろうかという大きなピンク色のビエネ。

いわゆる女王蜂扱いかな。


早速鑑定を通す。


魔物名:『ケーニギンビエネ』 魔素:細密(下級) 弱点(下級):水、雷、土 弱点(中級):火、風 スキル:『麻痺毒(下級)』、『回避習熟(下級)』、『直掩5』


魔法には全体的に弱く、回避も熟練ではなく、習熟というスキルに弱体化している。

直掩で5匹もつれているのは面倒だが、ここまで弱点が多ければ苦戦することもないだろう。


「ボスは麻痺毒に注意!魔法が弱点だ!ミラン、頼む」

ミランとリーゼが同時に詠唱に入る。


「ボス以外は倒しても増援で来るそ!ボスに攻撃を集中しろ。他は無理しない程度に処理」

おつきのビエネはシオンが早速切り返しで一刀両断にしているが、ボギーキャットクイーンの時と同様に何処からともなくビエネがやってくる。


「特に苦労はしないが、数が多いというのは面倒だな」

シオンがボヤきながら補充されたビエネに斬りかかる。


倒す事に特化しているシオンに取っては倒してもきりがないというのは面倒な相手だよな。


「ノーラ、前衛に出てくれ」

戦場が広い上、敵の数が多い。強敵というほどの相手ではないが、ミランやノーラに抜けてしまうと支えるのは難しくなるだろうし、ノーラも前線で支えてもらう。

「分かった!」

槍を払い早速一体を叩きつけながら前衛に出てくるノーラ。

「あまり大振りになりすぎるなよ」

短く注意を飛ばす。


位置を調整し、ミランとリーゼを半円に囲むような形で陣形を組む。


そうこうしている内にミランの一度目の雷魔法がケーニギンビエネに突き刺さる。

最近は威力が上がってきているようで、一部は既に炭化している。


もう2,3発も命中させれれば退治は可能だろう。

準備していたのもあったが、ずいぶんと余裕だな。


このまま苦戦せずに退治できるか。


そう思ったさなかだった。

目の端にふと動くモノがあることに気づく。

大きな岩だと思っていたものがゆっくりと立ち上がりつつ有る。


……聞いて無いぞ。悪い冗談だろ。

執事さんからもらった情報にはないし、そもそもボス部屋に2種類のボスが出るなど初耳だ。


実にのろのろとした動きのため、まだ時間は有る。まずは鑑定を通す。


魔物名:『シュタルトボア』 魔素:細密(中級) 弱点(下級):水、土、風 弱点(中級):雷 スキル:『通常武器無効』、『物理攻撃減衰』、『強靭』、『猪突猛進』


雷が通るのは有り難いな。

しかし、物理攻撃減衰系のスキルを2つも持っているとは、単純に硬く、強靭ということでタフな敵なのも確定。

猪突猛進はおそらく突進系のスキルだろう。しかし、あの体格で突進されたらさすがに受け止めれない。

回避するしか無いだろうが、そうなると後衛が危険だ。


あいつの正面に後衛が来ないような位置取りが大切か。


ビエネの方には現状でも問題はない。

数が多いがどうにでも処理できるだろう。


一歩下がって今まで対峙していたビエネを1匹ルカに回す。

ルカはボスと更に1匹を引き受ける形になっているが問題はなさそうだ。


「悪いがこちらは任せる」

「え!?」

リーゼとミランが驚いたかのようにこちらを見る。


「俺はあっちを担当する。こっちをなるべく速く退治して欲しいところだな」

クイーンから手に入れた『戦士殺しの鉤爪』を左手に装備し、まだ立ち上がろうとしているシュタルトボアに向かって駆け出す。


「まずはこっちの処理に集中だ!」

ノーラがチラリとだけ見て状況を掴んだようで、指示を引き継いでくれる。


リーゼは詠唱を変えたようだ。おそらくは防御系魔法。

ミランは驚きながらも途切れなく詠唱を続けている。


シュタルトボアの左側に回りこんで攻撃を開始する。

こっちに引き付ければ当面突進での影響が出ることはないだろう。


タフなのはわかっているが、こっちとしては向こうが片付くまで引きつけていればいいだけで、大きいとはいえ攻撃も直線的、1人で倒すのは難しいだろうが、どうにでも引き受けれるだろう。

気が付かずに途中から乱入されたなら危なかったかもしれないがな。


結局、ひやりとしたのもコイツが立ち上がってきたときだけだった。

突進を4回ほど受けたが、タイミングも分かりやすく、回避に特に苦労はなかった。

時間さえかければ俺一人でも処理できただろう。

苦労したといえばコイツの直線上に後衛が来ないようにするのに苦労した、という程度で。


とはいえ、さすがのタフネスっぷりだった。

シオンの一刀両断、ミランの今使える最大威力の雷魔法を受けてもまだ立ち上がって来たのは敵ながら大したものだった。

結局、シオンから2刀目の一刀両断を首筋に受けて倒れたが、タフさだけならまつろわぬもの以上だったかもしれない。


パーティを見渡すが特に大きな怪我もなく、結果論だが苦戦とは言いにくいか。


「少し驚きましたね。全く報告がないわけではないですが、複数ボスはかなり少ないと聞いています」

と、ミラン。

「俺もいろいろ調べていたが複数ボスなんて初耳だぞ?」

調べれた資料に差があるのかもしれないな、そう思いながら聞き返す。


「僕も王都の図書館で見ただけですよ。実際に体験することになるとは思ってもいませんでした」

ミランも首を振る。


適正よりやや余裕というダンジョンだから今回は良かったが、そういう可能性もあると思って今後は攻略しないダメだな。


素材や魔石を回収し、まだ余裕はあるものの報告も兼ねて行ったん戻ることにした。

急に暑くなってきました。熱中症などにならぬよう、皆様も体調管理にはお気をつけ下さい。(早速ダウンした作者より)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ