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迷宮探索

どうする、と言っても対応策は少ない。

魔物避けの部屋に待ってもらうにしても、確実に俺たちが脱出できるとは限らないし、脱出できたとして救助が直ぐに呼べるとも限らない。

この迷宮がどこにあるのかすらわからないのだから。


それにシオンやノーラを待機させるとすると、相手の数が多い場合対応出来ない。

リーゼが狙われ、守る余地が無い場合が発生すればジ・エンド。

回復役もなしに難易度の高い迷宮から出るなど夢物語だ。


悔しそうな表情のまま、シオンが口を開く。

「……足手まといなことは分かっている。だが……」

「待ってくれ。」


発言を止め、一つため息をつく。

まあ、今さらだよな。


隠しから魔法の袋をとりだし、鎧を取り出す。

その瞬間、全員が息を飲み込んでこちらを凝視する。顔には驚愕の表情。


そりゃ驚くよな。

魔法の袋は希少扱いの品質のアイテムだし、普通学生がもっているレベルの品物ではない。


意図的に気が付いてないフリをして、鎧に設定されている俺しか使えないという固定化を解除。

シオンに渡す。


「これは」

「追及はここから生きて帰れたら、ということにしてくれ」

納得は出来ないのだろう、色々と言いたそうな表情だ。


「鑑定は通らないか。」

泣き笑いのような表情でシオン。

「私も通らないわよ。一体どういう事?」

ノーラがあきれた表情で言う。


人の装備を勝手に鑑定するのは割とマナー違反なんだが、それをここで言っても始まらないな。


「それもこれも生きて帰れたら、さ」

どう説明するか頭が痛いが、それもここを無事に出てからのことだろう。


「……色々と聞かないといけない事がありそうね」

強い瞳でこちらを睨みつけてくるノーラ。

「手加減してあげたほうがいいんじゃないかしら?」

クスクスと笑いながらリーゼ。


ミランはニコニコと笑っているだけで何も話しかけてくる様子はない。

ルカはいつもどおり無言だ。


シオンが鎧を外し、貸した鎧傷知らず(きずしらず)の皮鎧を装備する。

驚き……というよりもに多分に呆れを含んだ軽い笑い声。


「フフフ……。」

装備するために固定化したのだろうな。

固定化したら性能や品質が理解できる。魔法の品とはいえ謎な仕様だが。

ついでに言うと固定化することである程度サイズ調整も行われる。


呪われていて解除できなかったりする品も多いから、いきなり装備したりする人はほとんどおらず、そのために鑑定系のスキルが有るんだが。


今までのシオンの鎧の品質は通常品だったし、これでシオンが長く耐えてくれれば生存率はあがる。

シオンの弱点だった防御面が強化されれば、信頼できる前衛として長く支えてくれるだろう。


本来は練習しておくべきなのだろうが、時間に余裕が有るわけでもない。

実戦で感触は掴んでもらうしか無いだろう。


3方向に伸びている通路はどちらに行くべきか悩んだが、困ったときは左手の法則で左側から埋めていくか。

左手の法則も万能というわけではないことは知っているが、な。


しばらく通路を進んだ先の広間にまたボギーキャットが2体。

早速シオンに実地で戦ってもらうか。


この戦いではシオンの横につき補佐に専念することにして戦闘を始めた。


……結果から言うと、特に苦労することなく退治することが出来た。

最初こそ戸惑いがあったようだが、今までと見違えるような動きで回避していくシオン。

攻撃予測の上、回避上昇(上級)だからなぁ。


戦闘後にシオンに聞いたところによると、打撃が予め線として見えるらしく、最初こそ戸惑いはしたものの、回避は容易だったとのこと。

そりゃな、途中から切り返しで反撃してたくらいだもんな。

俺がフォローする必要もなかった。


シオンが攻撃を挟めるようになったため、1体少ないとはいえかなり少ない時間で退治できた。

油断は大敵だが、これはかなりありがたいな。生存率が上がったと喜んでおこう。


その後、1時間ほど行ったり来たりを繰り返し、大きな部屋にて階段を見つけた。

何度か戦闘は挟んだものの、現時点では問題なく対処できている。


「さて、登るべきか、この階層で未だ探すべきか、悩ましいところだな。」

皆に振り返る。


発見したのは上り階段だった。

上り階段だから地上に近くなる、とは限らない。

迷宮によっては階段をあがることでより強い魔物が出現するエリアに到着することも有る。

それにもしかすると、ここは迷宮の1階で出口を見つけきれていないだけという可能性もある。


「上がって敵を見て判断でもいいんじゃないんですか?」

ミランが提案する。


見渡すが、特に反対意見はないようだ。


「そうだな。せめて分かる程度に敵が変わっていてくれればいいが。」

そう話しながら、階段を登り始めた。

左手の法則:迷路の壁に左手を当てながら進めば、時間はかかるにしろいずれゴールに辿り着くというやつです。別に右手でもいいのですが、どちらかと言うと左手の法則のほうが市民権を得てるようなので。

とはいえ、スタート地点の壁とゴール地点の壁が繋がっていない場合、この方法では出口にたどり着くことは出来ません。

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