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海の洞窟(5日目)

翌日、打ち合わせ通りに海藻の生えているポイントへ向かう。


地図をみて、移動や戦闘の時間を考慮して時間を割り当てて、と事前準備をしっかりしていたおかげでこちらも無理なく到着できた。

ボスの部屋に行くよりはこっちに来たほうがかなり遠くなるせいか、あまり海藻は取られていないようで、かなりの数がある。


とはいえ、見境なく全部持ち帰るわけにも行かないんだよな。

ここは学園で管理された洞窟だし、次のパーティを考慮してある程度限られた数しか持って帰らないのはマナーのような形で定着している。


海藻はかなり数多いしやや多めに持ち帰るくらいは許してもらうとするか。


帰り道もさほど苦労しない。

敵の種類もあまり多くないし、足場さえ確保してしまえばこの迷宮はそこまで難易度が高くはないな。

学生が入れる迷宮なのだから、高すぎるよりは低いくらいで安全性重視なんだろうが。


帰りしな、潮が引いて新たに行けそうな道を発見する。

地図に書いてないので一瞬新しい発見かと思った物の、足場を見たところ少なからず傷が入っている。

なるほど、地図が完全に正しいとも限らない、ということか。


道の先には思った通りカードがかざせる機会が設置されており、隠し通路扱いとされているようだ。

他にもこういった通路が有るんだろうな。


ただ、残り日数ですべて調べるのはさすがに難しいだろう。

潮の流れが複雑だし、洞窟の中で完全に水没しているところは結構目立つ。


すべてが隠し通路とは思わないが、潰していくのは1ヶ月では効かないだろう。

しかし、そこまでするメリットのある洞窟か、と言われると・・。


ここに時間をかけるくらいならもっと他の洞窟にアタックしたい、というのが本音だなぁ。

この迷宮は学園からすれば駆け出しの学生を鍛えるのに使える『いい迷宮』なんだろうが、ずっとこの迷宮に入り続けるのはあまり学生にとってはメリットにはならない。


2期生でどうなるのかは分からないが、この迷宮にはあまり頻繁に来たくはないな。

海があるから遊ぶだけならいいのかもしれないが。


そんなことを考えながらも、合宿中はなるべく非表示のルートを探すことに重点を置き、合宿を過ごした。

結果としては、4日目の探索まででさらに2つ発見できた程度で予想通りあまり美味しくはない。


5日目は座学となった。

かつて冒険者として名をはせていたという老夫婦からありがたいお言葉をいただく。


そして、老夫婦の前で今回の迷宮についてパーティ内で意見を述べ合うように言われる。

なぜいまさら、と思うものの、合宿でどんなことを学んだのかの確認と言われてしまうと反論もしづらい。


「・・正直な所ほとんど毎日話してきているから今更話すことなんて無いんだけどな。」

昨日の夜も打ち合わせしたばかりだし。

「まあ、今日は迷宮攻略はできないようですし、総評的な形で議論するのも悪くないのでは?」


「前衛としてはどうだった?」

軽くため息を吐きつつ、シオンに話題をふる。


「最初だけだな。足場さえ確保してしまえば苦戦するところでもない。」

「そうね。レイギョの粘膜攻撃には困ったけど、それも打つタイミングがわかるようになってからは避ければいいだけだし。」

ノーラも同意する。

実際、レイギョは粘膜を放つ前に喉部分がかなり特徴的に動くことがわかってからは粘膜に困ることもなくなっていた。


「後衛はどうだ?」

「水が多いので、雷魔法は打ちどころを間違えると味方に被害が出かねないので少し難しかったですが・・。その代わり風と火を実践で使えてメリットのほうが多かったですかね。」

「回復役はほとんど出番がなかったわね~。神聖魔法での攻撃魔法は有るにはあるけど、効果がいまいちだし。」

実際に怪我することは殆どなかったし、僧侶としては暇だろうな。


「槍か、物理魔法でもなにか修得するか?」

ぱっと思いつく対策を言ってみる。

「それも少しは考えたけど。どっちにせよ一朝一夕には行かないでしょ?。魔素を温存したいから物理魔法というのは結局選択肢として悪い気がするし。」

たしかにそうか。


「物理魔法は魔素をかなり消費しますからね。神聖魔法に特化してもらったほうがいいかと。」

ミランからも物理魔法には否定的な見解が入る。


「攻撃が何もできないのは確かに苦痛だろうけど、私としてはまず盾か何かを取得してほしいな。神聖魔法使いが倒れたら何もできないし。」

ノーラは攻撃より防御を優先して欲しいようだ。


リーゼは個人的には現状維持でも悪く無いとは思っているが、槍か盾かを現時点から学んでおいてもらう利点は有るか。

とはいえ、回復魔法を発動待ちの状態で維持してもらっているケースも多いし、あまり負担をかけすぎるのも良くはないかな。


「リーゼはそのまま回復役として特化してもらっていてもいいと思うけどな。」

「まあ、少し考えてみましょ。」


それからまた迷宮の話に戻った。

とはいえ、結論としては『弱すぎるから別の迷宮にチャレンジしたい』というのがパーティの総意といってもいいだろう。


老夫婦は何も言わずに横で聞いていた。


その後は皆でバーベキューをして楽しんだ。


悪くない合宿だった、かな。

合宿内容はよく考えられていたよ。良くも悪くも。


成績表?をお爺さんからもらい、5日ぶりに学園に帰ることになった。

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