強化合宿(初日-昼)
あらかじめ言うならば、この世界において水着はまだそこまでは発展していない。
それでも、各々に着飾った女性陣はとても魅力的だった。
まず最も目についたのはリーゼだ。
ビキニ、というよりはセパレーツというのだろうか?
ビキニを抑えた感じのデザインで色はワインレッド、腰にはパレオのような布、こちらも同じ色を巻いている。
僧侶の格好からではあまり分からなかった豊かな胸に視線が行ってしまうのは男としては仕方がないだろう。
次はノーラだ。
タンキニ、と呼ぶんだったか、オレンジ色のキャミソール型の上衣と同じ色のショートパンツという活動的な感じだ。
リーゼには及ばないが、しっかりと自己主張している胸に視線を持って行かれそうになる。
シオンはどちらかと言うと競泳用の水着に近い。色は薄い紺色。
ただ、スラリとした体がより強調される感じで、なんというか。。一言で言うとエロい感じがする。
ミュウ族という種族特性的に胸はそれほどでもないんだけど、足が・・。
最後はルカだ。
花柄のワンピースの水着で着慣れないのかあちこちを引っ張っている。
ルカだけはちょっと安心して見れる。他の3人はどうしても『女性』として見てしまうが、まだ『女の子』という感じで・・。
とりあえず、落ち着け、俺。
想像していなかっただけにかなり動揺しているのを自覚し、軽く息を整える。
そして、女性の格好はとりあえず褒めとけという至言を思い出す。
「・・びっくりしたな。皆、似合ってるな。」
皆、華やかに微笑む。・・笑った顔はみな可愛いな。
しかし、勘違いは厳禁だ。せっかくいい感じにまとまってきたパーティなんだから、女性関係での亀裂を入れるなんてもっての外だし。
それに、そもそもみんな身分違いすぎるんだよ。俺には手が届かない花。・・そう、自分自身に言い聞かせる。
「しかし、夏季合宿というからには迷宮攻略絡みだと思っていたんだけどな?」
彼女たちを見るのはなんだか気恥ずかしい気もして、ミランに話しかける。
「迷宮もありますよ、ここには。最初の一日はこうやって親睦を深めるのが目的、というだけで。」
眩しい太陽の光に目を細めながらミランが返す。
「どんな迷宮なんだ?」
「ちょっと!せっかく海にきてるんだから、その辺りの話は明日でもいいでしょ?今日は遊びましょうよ。」
すっと右手をノーラに取られる。
ドクン、と心臓がひとつ飛びで脈打つ。
・・意識しないようにするのはなかなか難しいな。
その後の女性陣の行動で驚いたのは日焼け止めだ。
なんと、神聖魔法『炎からの防御』で日焼け止めになるのだ。
・・魔法便利すぎだろう。
1時間程度で掛け直す必要があるとはいえ。
俺は、日焼け止めとか開発できれば売れるのか?等と益体もないことを考えていた。
正直彼女たちをあんまり直視できない。すぐに顔が真っ赤になってしまうからだ。
そういう意味で、このきつい日差しには感謝しないといけないかもしれない。
顔が赤くなっていても日差しのせいだとごまかせるから。
その後、ビーチバレーのようなゲームをやることになった。
男子チーム対女子チームだったため、かなりコチラが不利で、なかなか勝つのは難しかった。
敗因はこちらの数が少ないことと、魔法使いのためやや運動には難のあるミランがいるから、ということにしておく。
正直、まったく全力を出せた気はしない。ある意味で天国のような地獄のような空間だった・・。
ありがたいことにこの時間は2時間程度で終わった。
それからは晩御飯の準備を自分たちでさせられることになった。
ようやく自分の合宿というイメージに近づいてきて、正直ホッとしている。
正直、どういった態度を取るのが正解なのか分からないからある意味で辛いんだよな。
しかし、料理といっても実際料理をできたのは男性陣とシオンだけだった。
ルカは食べる専門、ノーラとリーゼはほとんど作ったことがないとのこと。
俺は『アキラ』が孤児院で色々手伝わされていたし、ミランも色々とやっているとのこと。
シオンは祖父からしごかれたらしい。
早速、野菜を切ったりというような簡単な作業を手伝ってもらった。
・・しかしルカに作らせるのは無理かもしれない。
シオン曰く、作らせるとすぐに食べてしまうせいで役に立たないそうだ。
・・まあ、ある意味で予想通りといえば予想通りなんだけどな・・。
ルカには別の仕事を担当してもらうか。
割と簡単時作れるシチューのような料理を作り、食べ終わった後で老夫婦から迷宮の注意事項を聞く。
海にある洞窟にできた迷宮ということで潮の満ち引きで行ける場所が変わってくるのが注意だな。
ボスはまだ退治する時期ではないとのことで、仮にボス部屋まで行けても退治しないように注意される。
怪我であればある程度回復してくれるようだが、死んだら何もできないから、いつも以上に慎重になるようにと指示を受け、地図をもらい、地図の情報をもとにパーティ内での打ち合わせを早速開始した。
元の世界とは違い、複数の月があるこの世界では割と頻繁に潮が満ち干きしてるようだし、時間管理も重要になりそうだな。
「まだ行ける、はもう危ないという感覚で一旦戻ることにしよう。おそらく足場もあまり良くない。滑ったり水に足を取られたりしやすいと思うからそこは前衛組要注意だな。」
「巻き時計があるので調整して行きます。」
ミランが古ぼけた時計を出して言う。
正確な時間が計れるのは大きいな。
「とりあえず最初のアタックは1時間程度をめどで。必要ならそこで再準備してもう一度アタックだな。」
周りを見渡すが反論や追加はないようだ。
まだ早い時間ではあったが、それぞれに割り当てられた部屋で就寝することにし、今日は解散となった。
いつもの三倍以上の時間を掛けたのに・・
時間を掛けたからといって良くなるとは限らない典型ですね。
格好を描写するのは少なすぎるとあれだし、多すぎるのも微妙だしでさじ加減が難しいですね。




