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競技祭決勝(前半)

決勝には当然というべきかボンボンのパーティが順当に上がってきた。


ボンボンのパーティの戦闘を始めて見たが、前衛3人がはっきりとレベルが違う強さだ。

そのまま冒険者としてでも十分活躍できるだろう、というレベルにある。

考えてみれば、冒険者がもう一度学園に入ってはいけないという決まりはないのだがら、最初からそういう能力があるメンバーを連れてきているんだろうが。


後衛は火と風の魔法使いに神聖魔法の僧侶。

ボンボン自身は火の魔法を担当しているが、おそらく杖によるブーストなんだろうが、低級魔法にも関わらず威力が高い上に詠唱時間が短い。

準決勝までの戦闘では前衛の戦士がうまく残りを調整してボンボンによるトドメというシーンが非常に多かった。

風魔法は後衛に対して牽制として使ってきて、魔法詠唱を妨害する形がメインの攻撃方法だ。

こちらは威力はそうでもない代わり詠唱がとても早い。


認めるのは癪ではあるものの、十分に完成されたパーティと言っていいだろう。


それに、奴ら相手だとどう見ても実力を発揮できていないパーティが多くいることだ。

やはり権力者に対しては戦いにくい、ということだろうか。


あえて良い勝負をしたと言えるのは奴らと準決勝であたったパーティだろう。

予め「我等では敵わぬはすでに承知なれど、全力にて行かせてもらう!」とはっきりと宣言してから戦い始めて、結果的には全く及ばなかったが、個人的には評価が高い。


ただまあ、そういうメンツですら3人の前衛に有効なダメージはほとんど与えれなかった。

せいぜい魔法による攻撃で少し削れたという程度で。


前衛同士で戦うならうちのパーティが劣るが、後衛には付け入る隙は多そうだし、その辺りを付けば十分に勝ち目はある。

とはいえ、実力が発揮できるかどうかはノーラの『策』次第なんだが。


準決勝が終わり、奴らのパーティが待つ闘技場へ向かう。


と、審判の先生が変わる。

今までも試合ごとに変わっているため、さほど不審でもないが、今回出てきたのは魔法を教えている先生だ。

今までが戦士系か、少なくとも探索者の先生だったのでやや不審はあるものの、『はっきりとそう』という異変というにはやや弱い。


むこうのパーティは戦闘を終えたばかりというのに特に息が上がっている様子もない。


こちらが正面に立ったところですっと前衛の戦士が入れ替わる。

ルカの前に斧戦士、俺の前に槍戦士、シオンの前に剣を持った戦士となり、それぞれ片手に盾を構える。


なるほど、近づかせない方針か。確かに短剣を使う俺みたいなリーチの短い相手に槍というのは悪くない選択肢だ。


審判役の先生が随分とオドオドしながらも、

「1期生決勝戦を開始する、それぞれ準備はいいかね・・?」

と、それぞれに尋ねる。


こちらの準備が完了していることを確認し、

「ああ」

と短く答える。


ボンボンも鷹揚(おうよう)に頷く。


審判役の先生は大きく息を吸い込んで、

「決勝戦、か、開始!」

と大きな声で告げる。


観客席から歓声が上がる。


長期戦になるとこちらが不利だな。とはいえ、まだ実力は出しにくいか。

そう思いながら、牽制の突きを軽くいなして距離を詰めようとする。


しかし、相手もさるもの。素早く槍を戻してこちらの出足を止めるかのように払う。

避けるために下がる。・・これは攻略が難しそうだな。


シオンの方をちらりと見るが、攻勢一辺倒で押しに押している。

おそらく守勢に回ったら長く持たないと判断しているのだろう。そういう意味では悪くない判断か。


反撃できるタイミングにノーラがうまく攻撃を挟むことで相手の反撃を防いでいる。

とは言え、有効なダメージは出せていない。盾でうまく防がれている。さすがに強いな。


ルカの方は全く危なげない。攻撃には移れていないが、全て防いでいる。


故に、気がついたのはたまたまだった。

ルカの体力ゲージが少し削られている。

いや、正確に言うと相手の攻撃のたびに少しずつ減っている。


盾で受けているのに?ありえない。


そろそろ詠唱準備が終わるであろう魔法を防ぐために、魔法使い2人に向けて複数持ち込んできた短刀型の模擬刀を投げる。

ボンボンはギリギリ躱した?あれはもしかしたら防具の性能かも知れないが。とはいえ、かなり無理な体勢になってしまっているし、詠唱は中断できただろう。


風魔法使いには腹に命中する。結果として両名の魔法詠唱の妨害はできた。

そして、この攻撃でハッキリする。


相手のゲージがほとんど減ってない!


投げた後に目線をゲージの方にやったため、隙ができたと思ったのだろう。

槍使いが三段突きを使ってくる。


残念、ちゃんと見てるよ。

うまく避けて懐に飛び込む。


「『刺突!』」

2回攻撃。しかし、うまく盾で防がれる。

そこまでは読んでるさ。腰に刺していたもう一本の短刀を左手で抜き、もう一度。

「『刺突!』」

左手でも同じスキルを使ってくるとは思っていなかっただろう。見せるのは初めてだしな。

狙い通り鎧にクリーンヒット。


慌てて距離をとる槍戦士。

牽制だろうけど打ってくる槍が少し掠める。


当たったかどうかギリギリのラインだと思うが、それでこちらのゲージは2割程度削られる。

そして、相手は5%程度しか減ってない。


2連撃が完全にヒットしてるんだぞ?悪くとも2割は削れてくれないと困るんだが。

どう考えてもゲージの減り方が逆だろ。


観客席から起こるざわめき。

ルカのゲージもいつの間にか1割近く削られてるな。

明確なヒットがないのに削れていくゲージに、明らかに命中しているのに減らないゲージ。


そりゃま、見てる方も不審に思うよな。

これはもう『はっきりと』異変だとはわかるが、ここまで差があると流石に勝てないんじゃないか?


審判を見るが、審判はまるで試合を見ていない。ゲージだけを見ている。

これは謀られた、か?しかし、ここまでするか?


いったいノーラはどういった策をとったんだ。

しかし、だからといってこいつらにあっけなく負けるというのも、な。


「やるぞ!」

打ち合わせてあった、本気でいく、というサインでもある言葉を大きく伝える。


さて、とはいえ圧倒的な不利な状況は変わらないが。

ミランに向かって後衛を狙うようにハンドサインを出す。


それと同時に後衛全体に降り注ぐ雷。

予想通り、殆ど減らないゲージ。

軽くため息。


しかし、向こうも気づいたのだろう。

「どういうこと、だ。」

槍戦士がつぶやく。


「そりゃこっちが聞きたい、さ。」

わざわざ不利になる工作をコチラがするメリットなどないしな。


明らかに困惑している槍戦士に斧戦士。

どんな異常があろうが、審判が止めない以上試合は続行せざるを得ない。


俺は隙だらけの槍戦士に切り込んだ!

これから!という所で切れてしまって申し訳ないです。

なる早で次をアップしたいのですが・・多分いつもどおりのアップになると思われます・・orz

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