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競技祭本戦

翌日、競技祭本戦が始まろうとしていた。

競技祭の会場はローマのコロッセオの様なつくりになっている。


完全に円形と言うわけではなく、一箇所に高い壁の建物が存在し、それを始点として円形に作られており、競技祭に参加する学生はその建物から闘技場に上がる仕組みになっている。


また、その壁部分には現在受けているダメージが一目で分かるような表示がされており、誰が死亡判定を受けたかもそこを見れば一目瞭然だ。


座席は最前列近くと後ろとで区切られており、最前列側が観客席になっていて、後ろのほうが学生席だ。


一番最初に始まるのが1期生ということもあり、観客席にはまだ人が少なく、空席のほうが目立つような感じだった。

まあ、観客席に座る人たちの本命は3期生だろうしな。1期生の段階から座ってるのはよほどこういったイベントが好きか何かだよな。


反面、学生席は結構盛況だった。

シオンによると特に2期生が多く見に来るのは前回と同じとの事。


あえて留年してでも優秀そうな1期生を取り込んだりするパーティもいるらしい。・・そこまでするか、という感じはするが。

今回は前回よりかなり多いとのこと。おそらくはボンボンのパーティの噂が届いて、それを目当てにきているのではないか?とノーラは言っていた。


正直『あんなの』を見たいというのが信じられないんだが・・・。

うっかりそう呟いたら、シオンが苦笑しながら、


「あんなのでも一応大貴族だからな。お付きの腕前が自分より下そうなら自分を売り込もうとする者もいようし、上だとすれば何か盗めるものがあるかもしれないから戦闘を見る価値はあるし、少なくとも損はしないからな。」

と答えてくれた。

「正直あいつに雇われるなんて願い下げだけどな。冒険者としてはいいパトロンなのかもしれないが、『仲間』として命を預けることは出来ない。」

「そうよね。万が一となれば自分だけ真っ先に逃げるタイプよね。『お前らが盾になるのは当然』とか言いながら。」

リーゼが苦笑しながら同意してくれる。


つい苦笑してしまう。

確かに、いかにも言いそうなタイプだよな。

冒険者と言うハイリスクハイリターンな職業についてるからにはリスクも当然許容してほしいところだが、そこも『権力』で何とかできると思っていかねない。


そういう雑談をしていたら同じ1期生の係員が呼びに着た。

ちなみにこういったイベントではパーティに参加していない1期生が雑用係として参加しているものらしい。

「私も転職の儀のときに看護役にいたでしょ?こういうのに参加しておけば、『みなし単位』として落第を回避できるから、割と人気よ。」

「まあ、転生の儀は1期生留年組は割と強制参加だけどね。」

とはリーゼの弁だった。


Bグループの優勝だから本戦でも2戦目なのか。相手はGグループの2位、という組み合わせ。

両者とも同じ控え室に通される。


控え室から見えるAグループ1位とHグループ2位の戦闘は戦士6人のAチーム一位がバランスタイプのHグループ2位を攻め立てていた。

Aグループ1位は割と連携がしっかりしているようで、かなりうまく追い詰めている。


とはいえ、本戦ではそこまで急には死亡判定が出ないようになっているため、魔法攻撃を受けて少し流れが変わる。

補佐魔法『眩暈(めまい)』か。本来は単体魔法だが、時間を掛けて詠唱することで全体魔法にしているようだ。

この魔法が効果があるのは10秒程度だが、その間はほとんど何も出来ない。


そしてその10秒を効果的に使えば、逆転はそう難しくはない。


「なるほど、2位と見て油断してもいけないということか。」

たかが10秒、されど10秒と言うことだろう。

「死亡」判定者は出ていない。しかし、状態異常効果の出る攻撃をうまく利用することで数的優位に立っている。

予選のルールでは発揮しきれない実力と言うのもあるのか。


そう思いながら立ち上がって軽くストレッチをする。

ウチのパーティの皆も立ちあがり、それぞれ軽く体を動かしている。


不思議そうにこちらを見るGグループの2位。

「もうすぐ決まるぞ。」

そう忠告する。


思った通り、Aチームに死亡判定者が出たあとはあっと言う間に壊滅していった。

Aチーム1位も悪くなかったと思うが、序盤に攻撃を集中させてでも死亡判定を出しておくべきだったな。あるいは何らかの方法で魔法詠唱を妨害しておくべきだった。

相手が2位と言う油断もあったのかもしれないが。


「さて、はじめようか」

入場のアナウンスと共に出て行く。油断大敵、それが知れただけでもAチームには感謝しないとな。




結論から言うと、本戦でもさほど苦戦することもなかった。

一度戦闘を見る事ができるためある程度対策はとれるし、ウチのパーティほどに高いレベルで連携が取れているパーティがいないというのが主な勝因だった

個人としてならノーラやシオンに張れる実力を持つ相手もいたが、他のパーティメンバーが崩れてはどうしようもない。


準決勝戦でシオンに攻撃を集中されヒヤリとした場面はあったが、そのパーティは明らかにシオンを攻撃するために無理をしすぎていた。

その無理の代償は支払わざるをえず、結果として本戦としては最も短時間で決着が付くことになった。

着眼点は悪くは無いと思うが、それで無理をして崩れては意味が無いな。


そして決勝戦になった。

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