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競技祭予選(前日)

一ヶ月はあっと言う間に過ぎ去り、まだまだ先と思っていた競技祭もあっと言う間に予選前日となってしまった。


うちのパーティは4番入り口に挑戦し始めて1週間でボスを難なく攻略し終えた。

そのころにはボンボンパーティが7番を攻略し、その知らせを聞いて7番や8番に挑戦しようとしたパーティが多く出た。


・・あえて結果は語るまい。挑戦したパーティのほとんどは身の程を思い知る結果となった、とだけ。


そのおかげと言うのはアレなんだが、多くのパーティが全滅したおかげで一時的に1番や2番といった難易度の低い迷宮が開いたため、低級の魔物のカードを集めてまわる事ができ、結果として単位を取るのに十分な量のカードを集める事ができた。

集まったカードというのもあくまで最低限と言うレベルなので気は抜けないが。


他に必要な「単位」もあるし、最悪「単位」が取れそうも無いときに特典として「単位」を獲得する必要があることを考慮すればまだまだ足りないのだが。


その後、ボンボンのパーティは3番のボスを撃破し、その後は8番を主な攻略先に選んだようなので、7番を午前中に攻略する方針へ変えた。

7番のボスも何度か撃破したが、報告はしていない。


7番ボスは複数で出てくる上、魔法を使う魔法系の魔物も含まれているため、パーティ戦で戦うにはちょうど良い感じなのだ。

とはいえ、最近では対策も取れてきてあまり苦戦することもなくなってきたが・・。


今日は、いつもの飯屋で明日の予選をどうすべきか打ち合わせをすることにしていた。


「で、ノーラ。手は打ったのか?」

「前も言っただろう、手は打った。・・ただ結果は当日、しかも決勝であいつらと当たらないと分からない。」

大きくため息を付く。

「これは前も聞いたが・・、結局どういう手をうったんだ?」

「すまないが・・あまり説明したくない。」

「とは言ってもなぁ・・。」

俺も色々と手を考えてみたものの、どうにもうまく行きそうな手を考えることは出来なかった。

ゆえに、どんな手を考えて打ったのかには興味があるし、仮に十分でなさそうならば今からでも敗退を検討しなければならない。


「私達が知っていると成功率が下がるのか?」

シオンが切り込む。

「・・いや、そういうわけではない。」

「ならば、知っておきたいというのが本音ではあるな。」


ノーラが大きくため息を付く。

「・・正直、この手だけは使いたくない手なんだ。好んで使ったわけではない。それは信じてほしい。・・だから、といってしまっては語弊があるが、あまり説明はしたくないんだ。皆には悪いと思っているが」

「概要も聞けないのか?」

「ああ、悪いが。私から言えることは一つ、明日の予選では全力で戦って圧勝してほしい。・・それだけだ。」


ふう。再度ため息を付いてしまう。

「こちらがルールに違反するようなことはして無いんだな?」

「ああ、無い。」

「決勝で当たるというのは何故分かる?」

「はじめてあったときのあの態度を見ただろ?一番注目される決勝でこちらを完膚なきまでに叩きのめす。それは確実だ。・・その程度の工作は既に向こうが仕込んでるだろう。」


トーナメント戦なのに仕込みか。ま、その程度はルール違反とはいえ無いだろうな。

「明日の予選を全力で戦うことで成功率が上がるのか?」

「ああ。」

「成功したかどうかはどうやったら分かる?」

「決勝戦ではっきりと分かるような異常が出るさ。」

「どんな異常だ?」

「その時にならないと分からない。ただ、確実に『それ』が起きたら分かる。」


正直なところ、こんな不確かな話に乗りたくは無いんだが。

ちらりとミランを見る。ニコニコと笑っているが、その態度が『何か知ってますよ』といっているようなものだ。

「ミラン、お前が説明してくれても良いんだが?」

「・・姉の意向なので。まあ、決勝戦で『それ』と分かる異常が出なければ負ければ良いだけですよ。・・成功していれば、『それと分かる』のは始まってすぐの筈ですから。」


・・これ以上踏み込んで聞くのは難しいか。

「個人的に納得は出来ないのだが。・・まあ、そういうことらしい。シオンやルカには悪いが、何も無ければ負ける方向になる。」

「実力を発揮せずに負ける、と言うのは納得は出来ないが。・・それが方針であれば従おう。」

「・・成功して。」

ルカは案外無茶を言うな。

確実に成功するようであれば、ここまで歯に何か詰まったような物言いはしないだろう。

成功するかは高くても半分、実際はかなり分が悪い勝負と言うことだろう。


自身で有効な手を考え付かなかった以上、成功するのを祈るしかないか。

個人的には奴をぶん殴ってやりたいしな。ルールだから顔はNGだが、ボディならセーフだし。・・さぞすっきりするだろう。


「一応、ルールを確認しておくぞ。」

ルールと言うほど多くは無いが。

武器は学園からの貸し出し品限定。防具は自前のものでよいが、ある一定の範囲を保護できない場合、貸し出される防具を必ず装備する必要がある。

防具にはカードを付け、受けたダメージを肩代わりすると同時にダメージを判定する。

そのため、防具の無い部分を攻撃してもダメージにはならない。盾で受けてダメージが入ってしまうのは流石におかしいしな。

とはいえ、頭や顔への攻撃は流石に危険なため禁止されている。

魔法も利用していいのは低級まで。前回の競技祭を実際に見ているシオンによると、魔法が胴体に2度命中したら確実に「死亡」と判定されるらしい。武器の場合は種類にも寄るが、予選だと2,3回で「死亡」判定との事。


当然のことながら、「死亡」と判定されたらそれ以降戦闘はできず、パーティから離脱し、戦闘を眺めることになる。


予選ではあまり関係ないが、本戦では場外負けや勝負が付きそうに無いときの判定等もあるらしい。

1期生から3期生まで全部それぞれやるわけだからな。あまり長くも出来ない事情があるんだろう。


本戦になると「大体どのくらい減った」と言うのが画像として大画面に表示され、観客への見栄えや分かりやすさを優先させる仕組みになっているようだ。3期生にとっては貴族や有力な商人などへのアピール場所といったところか。


予選で苦戦することはあまり無いだろうが、ノーラの策を成功させるためにも全力で行かないとな。


それを確認し、今日は解散となった。

ノーラの打った「手」については後日閑話にて記載予定です。

ノーラが「どんな手を打ったのか」「何故話したくないのか」もちゃんと考えてますよー、と言うことで一つ。

・・納得していただけると良いのですが。

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