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ボンボン登場

お気に入り100件突破!

これからもよろしくお願いします。

転入生が入ったという噂が流れてから3日がたった。

 一度だけ転入生のパーティを遠くから見た事があるが、ずいぶんとキラキラしたパーティだった。

 ・・・主に武装的な意味で。


 まず、3人いる戦士は全員銀を使った装備でしっかりと固めている。

 それぞれ剣、槍、斧と武器が違うが、こちらも銀製だ。

 更に全員が銀のカイトシールドを装備している。

 そこまでならともかく、更にその武器全てに魔法による付加がされている様子なのだ。


 正直、それだけでも引けるのだが、後衛は3人とも魔法使いでこちらも魔法がかけられているとおぼしきローブや杖といった、「いったいいくらかけてるんだよ!」と言うしかない金満パーティっぷりだった。

 いや、「意味のある金」の使い方ならいいだろう。・・ただ、見る限り「見栄え」が最も重視されていて、「実用性」はややおざなりにされている感が強いのだが。

 前衛の戦士はやや動きずらそうだし。

 ま、人のパーティより自分のパーティだけどな。


我がパーティはずいぶん形になってきたと言っていいだろう。


攻撃に難のあったルカは「相手の体制を崩す」ことを覚えてからずいぶん安定して攻撃を命中させれるようになってきた。

 とはいえ、格上の相手にはまだ防御を優先しがちではある。

 ただ、それが難点かと言うと別にそうでもない。

 壁役(タンク)の役目は相手の攻撃をひきつけて「耐え続けること」だから、正直攻撃の優先度はやや低くても良いのだ。

 敵の数が多かったり、明らかな格下が相手ならばともかく。


防御に難のあったシオンは『斬り返し』スキルによりずいぶんと変わった。

 敵の攻撃を斬り返すことで敵の攻撃を防ぎつつ自分の攻撃をすることが出来るため、完全に攻撃役(ダメージディーラー)として完成した感すらある。

 とはいえ、敵が連続攻撃してくるような相手だったり、多数に囲まれたりすると脆いところはある。この辺はまだまだ要修行といったところかな。


盾の取り回しに苦労していたノーラも手に付ける盾にしてからと言うもの攻撃面がずいぶん安定してきた。やはり槍を両手で持つ事ができるのは大きい。

 攻撃の命中がずいぶん安定している。ダメージもしっかりと与えれるようになってきているようだ。

 盾での防御は盾が変わったこともありなかなかうまく行かないようだが、ノーラに求めているのは前衛でも後衛でもどちらでもやれる「中衛」役なので、もう少し頑張ってほしいところか。


リーゼとミランには特に注文を付けるところはない。

 あえて言うならミランには雷以外の魔法にも習熟してほしい、と言う程度だが現時点では十分だろう。


8番入り口の地図も6割がた埋まってきた。

 おそらく、であるもののボスの場所も分かっている。

 一度チャレンジしてみるか。


今日も8番入り口に入る。

・・・まただ。入り口の敵がいない。


昨日から、どうも午前中から誰かが入っているようなのだ。

 我がパーティが挑戦し始めたころから8番入り口にはほとんど誰も立ち寄っていないようだったのだが。

 誰かが腕試しに来ているのだろうか?

 まあ、広いし会う事もないだろうが。


ボス部屋があると思わしき辺りまで一直線に進む。

 途中から魔物が増えてきたので、こちらに前のパーティは来ていないだろう。


そして、ある程度目星を付けていた場所に来る。

 何箇所かの壁を調べ、少し感触が違う場所を見つける。


「なるほど、隠し扉か。」

ノーラが得心したように言う。

 地図でここだけある程度の空白があるからな。とはいえ、実際に探してみないと違和感が無いレベルなので、これを見つけるには「ある」と思って調べないと難しいな。


発見したドアを開けると大きな獣が唸りをあげながらこちらを見ている。

予想通りボス部屋だな。


ボス自体は火のブレスがやや曲者だったものの、対処できるレベルの敵だった。

 少しずつ追い詰めていく、そのさなか。

 後ろから視線を感じる。


ちらりと視線をやると入り口に別のパーティがいる。

 って、ボンボンのパーティかよ!


「ケース8!」

意味もなく番号を叫ぶ。一瞬、何だとばかりにパーティの視線が集まる。その一瞬で十分だ。

 他のパーティあり。短くハンドサインで伝える。


とたんに攻撃方法を変えるメンバー達。

 本来なら切り込めるタイミングで攻撃をしない。ミランは大技を控えて単発魔法に切り替える。

 意図が伝わったようで何よりだが、少しやりすぎじゃないのか?皆。


攻撃を手控えたため、余計に時間がかかったものの、倒せはした。


後ろから軽い拍手の音。

いかにも今気が付いたかのように振り返る。


「すばらしいね。」

魔法使いが話しかけてくる。

多分コレがボンボンだな。


「苦戦しているところを見られたとは恥ずかしい。」

そう返す。

「しかし、困ったことをしてくれたね。」

「え?」

「一番攻略が進んでないこの入り口を制覇するつもりだったのだがね。」

にこりと笑っているが、眼はまったく笑っていない。


これは・・・まずいな。

 倒したのは失敗だった。意図して負けろと言うのは流石に難しいが、負けておかないといけなかった。

 さて、どうすれば敵対を回避できるか・・。

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