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FORTUNE LINKAGE  作者: 葛木空
一章~始まり~
5/5

五話~実力~

「はぁ……」

 朝早くに俺は五回目のため息を吐く、昨晩家に帰ると屋上でのことを一晩中二人に問いただされほぼ徹夜状態なのだ。今も茉莉たちから逃れるために一人で先に学校に来ていた、ただ星夏さんとは話していただけなのにあの姉妹はなんであんなに怒るかな。

 特になにもしていないのにどういう関係だのなにをしていただの酷い言われようだった。

「おお、生きてたか」

「血祭りになったと思ってたのに」

「よう薄情な氷雪の貴公子サマ、とセブンソード」

 二人が教室に入って来て早々皮肉を言ってくる。同じく皮肉をこめて怜と悠里の二つ名を言う、なんでも俺が東京校に行っている間にかなり力を付けて『主に』怜は女子からこう呼ばれている。というか学内ランキング上位百位に入っている生徒は大体二つ名が付く、優秀な魔法使いにはその特徴を踏まえた二つ名を付けるという昔からの習慣らしい。

 学内ランキングは一年から四年生まで統一で大体は上級生の三、四年が入っているが二年生以下がランキングに入っているのは珍しい。余談だが今年の生徒会には四年生が含まれていない、理由は三年生や二年生が一位から十五位を占めているからだ。

「まあ嫌な二つ名じゃないからいいけど」

「俺も」

「……ソーデスカ」

 なにも言い返せず俺は机に伏せる、それからあることに気づいた。

「おい怜、何でお前こんな早くに学校に居るんだ?」

 いつも寝坊するような奴なのに。

「ネトゲしてたら、朝になってて、悠里に呼ばれて一緒に来た」

「…………」

「馬鹿だよな」

 思わず何も言えなくなった、まさかあの戦闘のあとに帰ってネトゲしてるその精神力を尊敬するよ俺は、わざわざ言葉を区切るなよ。

「そういや悠里、生徒会長って何組なん?」

 少昨日から気になっていたことだ。同じ学年なのに黒斗の姿を未だに見たことがない、少なくてもA組ではないし実技訓練でも見たことがないのだ。

「あ~、まあそれについてはまだ言えない。もう少ししたらわかるさ」

「生徒会にも色々あるんだよ」

「ふ~ん」

 いずれわかるならいいか、それにしてもこんな時間だと誰も居ないし暇だなぁ。

「お、いいところに居た」

 武田先生が教室に入って来る、その表情はいかにもお前ら暇そうだなというものだ。

「なんすか?」

「暇だろ? 暇だよな、それじゃ少し手伝え」

「いきなり横暴」

 怜が反抗した瞬間先生の手が一瞬ぶれる、気付けば怜に一本の氷で出来た剣が突き付けられていた。無理やり手伝わせるつもりだよこの先生、教師の風上にも置けない。

 なんて口にして言えるわけなく。

「お前らも手伝うよな?」

「「はい」」

 悠里と俺は頷くしかなかった、そのまま三人連行され闘技場へ連れてこられた。

 中は誰の姿も無く四人で居ると相当広く感じる、そりゃ東京ドーム三個分近くの広さがあるしあたりまえか。闘技場を建てるために更に埋め立てをしたって話があるくらいだ。

「お前らでいいから少し実験台になってくれ」

「は?」

「実験台ってなんだよ」

 この先生はいきなり何言うかな。

「新しい訓練用の召喚獣の強さが気になってさ、朝比奈と竜胆はそこそこ実力あるし三人ならいい戦いしてくれると思うんだ」

 本当に教師かこの人、生徒に召喚獣の強さ測らせるとかありえん……。

 しかし断ろうにもさっきやるって言っちゃったしな。

「引き受けたからにはやるしかないな」

「おう」

 やる気十分だな、俺もやるしかないか。

「俺もやりますよ」

「じゃあ今すぐ着替えてこい、準備はしておくから五分間だけ待ってやる」

「「「短っ!!」」」

 そう言って先生は中央で召喚の準備を始める、俺たちは急いで校舎に戻って着替えてすぐに闘技場へ戻る。

『グォオオオオオオオアアアア!!』

 中に入るや否や大きな咆哮が聞こえてきた、おい先生なに呼んだんだよ。

「おお、来たか。後はよろしく」

「…………」

「うわぁ……」

「なにこれ」

 闘技場中央には二本の角が生えた首長のドラゴンが居た、とはいっても翼は無く鱗に覆われた胴体に四本足で立ち前足は獅子、後脚は鷲のようだ。と言うかでかい、体長は十メートルほどで地竜に分類されるタイプだ。

「ムシュフシュ、地母神ティアマトが生んだとされるドラゴンだ、とりあえず頼むわ」

 これはマジで戦わないと大怪我する、腰から銃を二丁引き抜くと怜も剣を抜刀した。

「こいつあれだな、確かキメラみたいな奴だったはず」

「めんどくさい」

 軽く怜がムシュフシュについて説明をしてくれる、流石ネトゲーマー、こういうの詳しいな。

 悠里の手を見ると刀身の無い柄だけの剣を両手に持っている、背中には大剣を背負っていて両腰に実体の剣が二本、あとは腿にも柄だけの剣が二つ付けられていた。七本の剣を扱うが故の異名がセブンソードだ。

「俺は中距離から援護する、二人はフォワード頼む」

「わかった」

「行くか」

 ブンッ、と柄の先から魔力で出来た刃、魔力刃が悠里の柄から生成される。そして二人は地面を蹴り前に出た、俺はそのまま後ろに下がってムシュフシュの頭と足を狙って魔弾を打ち込む。

『フゥウウウウウウウウウウ!!』

 威嚇するように吠えて尻尾を振り、魔弾を打ち落とすとその隙に悠里が二刀で真横から回り込む。その反対側から怜が楯を構えながら挟撃の準備に入っているのが見えた、サポートするために俺は右手のグリップの上にあるレバーを親指で上げ引き金に指を掛ける。

「万物全て砕く雷光よ、射貫け」

 少しの詞を謡い、そのまま引き金を弾くと銃口から一筋の雷光が空へ向かいながら斜め上に駆ける。ムシュフシュは自分に向かってくるのだろうと思ってか地面を蹴って俺へ向けて走り出していた。残念だったな、この魔法はこういう使い方もできるんだ。

「落ちろ雷光」

 雷光は角度を変え真下に向かって落ちる、その様はまるで雷の鎚。背中に雷撃が直撃してムシュフシュは地面に叩きつけられバランスを崩したそこへ悠里と怜の剣が迫る。

「もらった」

「終わりだ」

 だが二人の剣は前足と尾に阻まれる、確実に仕留めるタイミングだったがまさか防がれるなんて思わなかった。

 背の鱗が焼け爛れていたがまだ動けるらしい、まったくなんでこんな奴を相手しなきゃならないんだか。

「悠里、怜っ! 一旦離れろ!!」

「わかってる」

「っ!」

 ムシュフシュが大きく尾を振ると尾先が怜の楯を引っ掻く、削れた部分がやや紫色に染まるのが見えた。毒の尻尾持ちか、先生はなんでこんな危ないやつを召喚したんだ。俺たちじゃなかったら絶対に死んでるぞ。

 二人は体勢を立て直して距離を取る、その隙を見逃さずかなりの速さでムシュフシュが地を駆ける。

「ちっ」

 左の銃のレバーも指で上げ二丁の銃を同時に構える、このままじゃ二人が危ない。

「『……』貫くものよ、我に従い灼熱の稲妻となり敵を討て。『……』、嵐となり全てを巻き込み蹂躙しろ」

 弾倉の一番上にある弾に籠めてある魔法の一節を詠う、今使えるあれを使って魔法を強化する。先生のことなんか気にしていられないしあの部分は小さく言ったから聞こえないはず。大丈夫だ、問題ない。

 銃口に魔力が収束していき巨大な球体と化す、その周りには魔力を固定するための環状魔法陣が囲っている。

「沈めぇええええええ!!」

 収束した魔力が完全に球体と化し、引き金を同時に弾くと閃光が銃口から放たれる、辺りの魔力を収束させて撃つ収束魔力砲撃。なかなか使うことのない魔法だから少し加減ができなった、範囲はもうムシュフシュの身体を簡単に飲み込むほどの大きさだ。

「やべ」

「おい黎斗、巻き込むつもりか!?」

「はぁ……」

 怜の深いため息が聞こえる、しょうがないだろ撃っちゃったんだから。閃光はムシュフシュを飲み込んで辺りは爆風に包まれた。

「お前って随分大層な魔法使えるよな、レーヴァテインにブリューナク。あと何個隠し玉を持ってるのやら」

「さあな」

「危ないだろ」

 煙の中から悠里が出て来て煽ってくるのをスルーする、俺がなんの魔法を使ったかわかるのが不思議だ。生徒会のメンバーは謎な奴が多い。少しして怜も愚痴を言いながら隣に並んでムシュフシュの居た方を見る。

「悪い悪い、慣れない魔法は使うもんじゃないな」

「誤射とかあいつだけで十分だから」

 今は居ない幼馴染が本当に誤射の達人だった、中距離支援を頼んでいるのになぜか前に出ては銃を乱射した揚句味方へ誤射するあいつのことが怜の脳裏に浮かんだんだろう。しかも射線上に来るなとか言う始末でよく模擬戦後とかは俺たちでよくシめたな。

「もう味方の居る傍で撃たないから安心しろ、俺あいつほど馬鹿じゃないし」

「ならいいけど」

 次第に土煙が晴れていくとそこにはまだ立つドラゴンの姿があった。

『グオオオオオオン!!』

 大きく咆哮して俺たちへ向けて走ってくる、流石にあれだけの砲撃を受けたんだから跡形もなく消えていてもいいはずだ。しかもまだ体力は有り余ってるらしい。

「うわ、ないわぁ」

 思わず内心が口に出た、鱗もボロボロだがまだ立っているとは思わなかった。

「黎斗ばかりいいところ持って行かれるわけにもいかないな」

「おう、見てる人……先生しかいないけど」

 二人が剣を構えながら駆けていく、俺も手伝おうと思ったが出ようとした寸前で二人に『来るな!』と言われて行こうにも行けなかった、どれだけ戦いたいんだよ。

 悠里が一瞬でムシュフシュの目の前に潜り込んで魔力刃が胴体に殺到する、腕を上げて押し潰そうとするのを怜が割って入り楯で腕を防ぐ。見事な連携に俺は感心した、今の動きは互いの動きを知らないとできない動きだ。

 数回の斬撃が身体に殺到した後に大顎を開いて悠里に噛みつこうとする、後ろに跳んで避け怜が空中へ舞う。

「縛り凍結しろ、グラキエスチェーン」

 空中で捕縛系の魔法を怜が発動させた。大気と地中の水分を凍結させて鎖を造り六方向からムシュフシュの身体を縛って触れている部分を凍結させていく、その間に悠里は魔力刃を解除して腰の剣帯に柄を差し近づきながら背中から大剣を抜く。柄を少し包むようなナックルガードが目立つ大剣は下段から振り抜かれる。

『オォオオオオオオオオオオオオ!!』

 前足の付け根から背に向けて切り払われて痛みで大きく咆哮する、そこに止めを刺すように二人が剣を構えた。

「これで本当に終わりだ」

 振り上げた勢いで大剣に魔力を籠めて大上段から縦に振り落とす、続いて怜が空中から冷気を宿した剣で背から切り払う。

「凍てつけ、絶氷砕破」

 着地して剣を鞘に納めると一瞬でムシュフシュの身体が凍結して砕け散った、悠里も大剣を背に背負いこっちへ来る。

「終わりだな」

「おう」

「お疲れさま、いやいやお前たちは本当に規格外だな」

「労いの言葉も無しですか」

 遠くで観戦していた武田先生が拍手をしながら歩いてくる、俺はやっぱり疑問をぶつけてみることにした。

「それよりなんであんな高レベルの魔獣と俺たちを戦わせたんですか? もしかしたら死んでたかもしれませんよ」

「お前たちなら倒せると思ったからだ、現にお前らは生きてるしな。ぶっちゃけて言うとあいつの制御できなくて暴走したのを処理させたのよ、前も失敗して大変だったし次こそ制御できるかと思ったんだけどさ。ははははははっ」

「「「…………」」」

 今なんと? 暴走して制御できなかったから俺たちに処理させた? マジで教師の風上にも置けねぇえ、これ校長に報告してやろうか。

「あ、因みに校長にはこのこと話してあるからちくっても無駄だぞ。あと他の先生や生徒には他言無用な」

「さすが校長、ある意味素晴らしい」

「うんうん」

 この先生最低だわ、てか校長なに生徒に事後処理させるの了承してるんだよ。二人もなんかめっちゃ納得してるし。

「それじゃお疲れさん、教室戻っていいぞ」

「……はぁ」

 小さくため息を吐いて先生の背中を見送った。

 それからまた着替えて教室に戻ると大半のクラスメイトが登校していた、もちろんそこには茉莉の姿も。

「黎斗、なんで先に行っちゃったの?」

 そりゃまたあれこれ聞かれるのがめんどくさかったから……なんて言ったらまずいよな。

「あ~、少し怜と悠里に話があってさ。それで」

「ほんと?」

 少し上目使いに悠里たちを見る茉莉、だがそこは空気を読んでくれるらしく。

「ホントホント」

「そそ」

「ならいいけど……」

 やや片言でそう言ってくれた、それで信じてくれたらしく茉莉は疑うような表情をやめた。

 なんとか助かったよ俺。

「ねぇ、三人とも魔力使った?」

 と思いきや中々鋭いところを突いてくる、使った魔力は大体回復したし仮に回復しきってなくてもそんな微量気付かないだろう。

「こんな朝からそれはない」

「そうそう」

「じ~……」

「な、なんだよ」

 じっと俺だけを見続けてくる茉莉、なんだよ言わないぞ? 一応他言無用って言われてるんだ。

「気のせいみたい、ごめんね」

「別にいいけどさ」

「は~い、ホームルーム始めるわよ」

 丁度そこにかがり先生が入って来る、チャイムはまだ鳴ってないのにHRを始めるのはこの先生の特徴かもしれない。

「ん~」

 今日もいつも通りの平和な日だといいな。



 そして放課後、俺はいつも通り何事もない一日を過ごした。昇降口で錦戸姉妹を待つためぽかーんと茜色になりつつある空を見上げていると突然視界が暗転する、誰かに目隠しされたようだ。

「誰でしょう」

「や、声でまるわかりですよ星夏さん」

「当たりよ」

 手が放されて星夏さんが後ろから俺の前に一回転して来る、その時ふわりと髪からいい匂いがした。

「なにしてるの?」

「茉莉たちを待ってるんです、帰りに喫茶店に寄ろうって話になってて」

 なんでも朝の埋め合わせと言って沙希が無理矢理に予定を開けとけと言ってきたからなにも予定を入れなかったのだ、ほんと俺幼馴染思いだよな。

「ふ~ん、それ私も参加していいかしら」

「いいですよ」

「星夏さんなら大歓迎です」

「うおっ」

 気が付くと茉莉たちが後ろに立っていた、この二人気配消してたな。

「それじゃ行きましょ」

「ほら行くよ兄さん」

「おわ、引っ張るな! 星夏さんも!!」

「沙希、あまり黎斗に厳しくしないの」

 行くことが決まった瞬間、沙希と星夏さんに腕を引っ張られる。茉莉もなんだか止めるつもりは無いみたいだ、こんな光景を見てか。

「くそう、美少女三人に囲まれてなんなんだあいつ……」

「篠宮……奴は異端審問会にかけるべきだ、あいつだけあんな良い思いしてるのはおかしい」

「生徒会副会長に転校生美少女二人に囲まれるとか爆発しろ!」

 俺の心情を知ってか知らないかはわからないけどあれこれ言うが、この状況辛いんだぞ? お前ら一回は味わうべきだと思うんだよこの微妙な苦痛、確かに星夏さんは綺麗だし沙希と茉莉も可愛いのは確かだろう、だけどな、個性強すぎるんだよ。

 多分茉莉が居なかったら俺全てを諦めてたな、一人は常識人が居ないと困る。

「兄さん、今失礼なこと考えなかった?」

「ソンナコトナイサ」

 ええい、沙希はエスパーかなにかか? 読心術ができるなんて聞いてないぞ。

「黎斗、どこの店行くの?」

「とりあえずスタバでいい?」

「私はいいわよ」

「わたしも」

 とりあえず今はコーヒーでも飲んで落ち着きたい気分だ、俺たちは校門までの長い道を歩いた。

 山下公園前までバスで移動してマリンタワー内のスターバクスに入る、幸い店は空いていて品物を買ってからすぐ席に座れた。

「いきなり混ぜてくれてありがとうね」

「大丈夫っすよ、俺たち大体そんなのりですから」

「そうだね」

 なんだか星夏さんが微妙に畏まっていてびっくりした、慣れない人とお茶をするのが初めてなんだろうな。

「緊張してます?」

「ううん、平気よ」

 沙希が少し星夏さんのことを気にしながらカプチーノを啜る、こういう気配りできるところが良い所なんだけど俺には中々その気遣いをしてくれない。素直じゃないのはわかってるけど。

「そうそう、黎斗朝に闘技場行ってたでしょ」

「え゛」

 あまり話したくないようなことをさらっと副会長殿が口にした、その件は二人に隠しておきたいんですが。

「その話詳しく」

「兄さん、なにしてたんです?」

「…………」

 黙秘だ、他に逃げ道はない。それにしても星夏さんに見られていたとは致命的だった、もっと周りに気を配っておけばよかった。

「なんか怜と悠里と一緒に戦闘服で闘技場に向かって行ったのを見かけてね、なにしてたのかな~と」

 かなり意地悪そうな表情をして俺を見ながら話す、この人絶対あの戦闘のこと知ってる。だからわざとこの話題を出したんだ、でもあの時武田先生以外に人は居なかったはずだけど。

 いや、星夏さんくらいなら隠蔽魔法かなんかで姿消すくらい簡単だろう。

「やっぱり魔法使ってたんだ」

「…………」

 茉莉からジト目で見られる、そりゃ嘘吐きましたけど他言無用って言われてるんですよはい。そんな何があったか話してよ的な目で見られても話せないんだって。

「それでさ、ほんと凄かった。篠宮はブリューナク撃つし朝比奈と竜胆は綺麗な連携でムシュフシュ仕留めてよ~」

「また生徒に止めさせたのか……」

「まったく変わらないわよね~」

 …………ん? なんか凄い聞きなれた声がする、少し奥の席を見ると武田先生と永岡先生、かがり先生のお三方の姿が見えた。おいちょっと待った武田先生、その話他言無用だったんじゃないのか?

「篠宮は間違いなく次の学内ランキングは上位に入る」

「そりゃあの子が本気を出せば余裕よ」

「確かに篠宮はセンスがある、入れればいいな」

 褒めてくれるのに喜んでいいのかわからん、こんな状況じゃなきゃ大人しく喜んでたけど。

「へぇ~、黎斗そんなことしてたんだ」

 少し棒読みでわざとらしく星夏さんが言う、確信犯って本当にわかりやすいよな。

「兄さん! ブリューナク使えるって本当ですか!?」

「そこかよおい」

「朝の話しわたしだけ除け者だったんだ……」

 沙希は論点ずれてるし茉莉は何で拗ねるかな、ああもうなんで先生たちここに居るんだよ!? おかげで大迷惑だわ。

「悪夢だ……」

「ふふふっ、本当に変わらないわね」

「なにか言いました?」

「何も言ってないわよ~」

 俺は星夏さんに会話で勝てそうにない、よし今日は潔く諦めようとするか。

 こうして昨晩よろしくスタバで錦戸姉妹+星夏さんから事情聴取が始まった。



 黎斗が事情聴取されている頃、教師の三人は横浜湾を見るかたちで山下公園のベンチに座りまだ話をしていた。

「しかし、お前も嘘が下手だな」

「何の話だ?」

 永岡が目を細めて言うと武田はしらを切る。スターバクスに黎斗たちが居たのを知っていてさっきは軽く話をしたが、ここなら全部話せるだろうと思い場所を移していた。

「なにが暴走よ、自分で召喚して普通に操ってたじゃない」

「やっぱり見てたのか、陰湿だな」

「生徒をいじめてる方が陰湿だ」

 今日の朝の戦闘は二人も陰から観戦していたのだ、学園長から不測の事態に備えてとの言付けで見ていた。さすがに召喚獣がムシュフシュと聞いては危ないだろうとは思ったがあの三人はいとも簡単に撃破して見してしまった。

 戦闘後に暴走していたと武田は言ったが実は裏でちゃんと命令をだしていたのだ、大切な生徒に死なれては困るが段々戦いが面白くなってきてしまい終盤はムシュフシュの自由にさせていた。

「本当は錦戸姉妹の実力も測りたかったんだけどな、今回は篠宮しかいなかったからさ」

「……それにしても残りの二人は相変わらずの強さだ、朝比奈は手持ちの氷、水系の魔法の種類は学園随一でルーンまで使える。学内であそこまで扱えるのはあと生徒会くらいだろう、竜胆は七種類の剣を巧みに使いこなして臨機応変に叩けるフォワードのスペシャリスト。さすが学内ランキング十七位と十四位だ」

「あんな生徒を持てて私もうれしいわ~」

 教師からすれば異常な強さでもある、特に怜は十六歳にしてルーンを習得しているという異質な存在だ。飛び級をしないかと言う話も出しているが彼はずっと断り続けていた、理由は何故か言わない。悠里も剣の技術や保有する魔力量も桁外れで一部の教師は勝てるかすら危うい。

「それで、黎斗はどうだった?」

「さすが魔法使いの一族だ。技術や魔力量、持ってる魔法の種類も豊富でありゃ本気出せばランキング二桁台に入る」

 武田から言わせれば何故常に全力を出さないのか気になっていた、本来ムシュフシュはブリューナクを受け止めるほどの力を持っていない、着弾の瞬間に使える最大級の防御魔法を張ったがいとも簡単に貫かれた。直撃していたら一瞬で蒸発していただろう。

「……篠宮のブリューナクだが、範囲が広くなかったか?」

「そういやそうだな」

 収束魔力砲撃の中でも、ブリューナクは貫くことに特化しているため普通の砲撃より少し小さい部類に入るのだがあれは大きすぎた。ムシュフシュを飲み込むほどの大きさにはならない。

「範囲拡張の魔法でも使ったのよ、それなら納得でしょ?」

「神話級魔法に範囲拡張魔法ね、できるもんかね?」

 普通なら一般の生徒が神話級魔法を使えばすぐに魔力が尽きて倒れるのに対し黎斗はまだ余裕を見せていた、それにブリューナクの範囲を拡張させるとしたら嵐のルーンの重ね掛けでもしない限り不可能だろう。武田はかがりに疑問の視線を向ける、いかにも何か知っているかのような表情をしていたからだ。

「できるわよ、きっとね」

「……食えない奴」

「それじゃ、月末の事でも話すか」

 三人の会話はまだ続きそうだった。

四話なう、やっぱり月に二回くらいは更新したいっすね~

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