三話~初任務~
「魔法の基礎は四大元素が地水火風は全員知ってると思う。と言うか知らないわけないよな?」
七時間目、魔法学の授業を欠伸しながら聞く。この武田先生は独特の雰囲気を持っていて授業は面白い、見た目は若いし何歳なんだろう。
何人か頷くのを見ると先生は次の説明を始める。
「分かってるならいいか、その他に光属性や闇属性にものを操る操作系、召喚系など幅は広い。お前たちはその対処の仕方は去年学んだ筈だから」
ちなみに独特と言うのは。
「これくらいの対処できるよな?」
いきなり初級魔法、ファイヤーボールを手の平から放つ。こうやって授業に一回は個人の実技? を計るために半ば不意打ちで魔法を俺たちに向けてくるのだ。
今回は茉莉へと火の玉は向かっていく、それに物怖じすることなく冷静に見据え。
「アクアスラッシュ」
手を前にかざすと水の刃が魔力で生成され飛び出し、火の玉にぶつけて相殺する。二年生になると術式を完全に覚えていれば無詠唱で中級魔法程度なら使いこなせる生徒も多い。
それには相当な知識と精神力が必要になるが。
「転校初日でよくやるな」
「少し焦りましたけどね」
茉莉の実力を計るために今回は狙ってやったようだ、底が知れないな武田先生。
「とまあ火は水に弱い、属性魔法ならその弱点の魔法を使って行くように。これ復習だからな、テストにでるからな?」
「「「は~い」」」
少し呑気な声と共に返事をする、確かに基礎は大切だ。しかもこのA組は近接戦闘を得意とする生徒が集められているから魔法の対処は確実にしなければならない。
知っているのと知らないのとでは大きな差がある、冷静に対処すればすぐ次の行動に移れるという利点もあるからだ。
「まああれだ、とっさに対処できなかったら防御魔法なりなんなり使って防げ。つか相殺させるよりその方が圧倒的楽だし、それじゃ次は」
教師がそんなこと言っていいのかよ、と思った時だった。
『広域探査科から通達、山下公園周辺にて二つ魔法発動の反応がありました。五から十一チームまでは対応に当たってください』
放送が終わった瞬間に数人の生徒が急いで教室を出て行く、学園の高等部以上の生徒や魔法使いは特別逮捕権を持つ。一応学園を卒業すると魔法使いは国家公務員として国内外の犯罪者を捕まえられる特権が与えられる。
世の中には魔法で人を傷つけたり犯罪に使う人が決して少なくない、一般の警察だと魔法関連の事は相手に出来ないため近くに居る魔法使いが対処することになっている。ただし学園の高等部生徒が担当する場合は四人から七人のチームを組んで犯人逮捕に当たらなければいけない。
学生という理由と昔一人で逮捕に向かった生徒が亡くなる事件が何件もあったらしく、今後そんな事が起こらないように三年前から今のチーム行動制が義務付けられるようになった。
「最近多いな、噂の魔術師狩りか?」
「噂だろそんなの」
後ろから和紀と悠里の会話が聞こえる。最近巷では魔術師狩りの噂が絶えない、魔法使いだけを狙う集団らしく既に何十人も犠牲になっているという話だ。
「…………」
「茉莉?」
「あ、何でもないよ」
隣で茉莉が険しそうな表情をしていた、まるで何か知っているような。
俺が話しかけると何時もの雰囲気に戻る。
「お前ら、授業再開するぞ~」
武田先生の呑気な声と共に再び授業が始まった、何故か不安になるのはなんでだろう。
「よし、終わった」
「お疲れさま」
授業を終えて身体を伸ばしていると茉莉がやって来る、男子からの視線は気にしない方向でいこう。
「茉莉、黎斗から話聞いてるか」
「え、何のこと?」
「今から話すところだよ」
呼ぼうとしたところで怜もタイミングよく俺の席に来る、これで本題に入れる。
「茉莉、一緒にチーム組まないか?」
「別にいいけど、でも私でいいのかな」
「いいから言ってるんだ」
俺は戻ってきたばっかりでチームは組んでないのを知っていたからか、怜が組もうと言ってきたのが始まりだ。ただ残りの二人をどうするかと考えていたところで茉莉たちを誘ってみようという話になった。
「沙希も誘おうと思ってるからさ」
「それで私を誘わなかったら怒りますから」
「うおっ」
気が付くと真横に沙希が立っていた、気配消して立つなよ。
「気づいてなかったの黎斗だけだぞ」
「うん」
「…………」
くそう、なんだこの弄られてる感は。
「それで申請はどうするの?」
「これに名前書いてくれ」
「わかった」
申請書を鞄から出して机に置く、二人が順番で名前を書き終え。
「はーい、チームナンバーは十三ね」
「わっ」
「かがり先生、いきなり出てこないでください」
いきなりかがり先生が現れて申請書を奪っていく、なんかこうなることがわかってたような感じだ。
「なんで十三番なんですか?」
不思議そうに沙希が聞く、確かチーム番号は結成順のはずだしなんでそんな中途半端なばんごうなんだろ。
「こっちにも色々あるのよ」
「そうすか……」
意地悪そうに微笑みながらかがり先生は教室を出て行く、まったく自由な人だ。
「それじゃ帰りますか」
「そうだね」
「ようやく帰れる、家に着いたら寝ようかな」
「晩御飯なにかな~」
一通り授業は終えたし教室を出る、太陽もほぼ落ちかかっていて藍色の夜空が広がりつつある。この時間帯の空は綺麗だな。
「確か夕飯は」
『十三から十七チームのメンバーは至急会議室に来てください』
いきなり放送が入る、しかも俺たちのチームが含まれていて三人も少し驚いているようだ。
今さっき出来たばかりの俺たちを招集するなんて何考えてるんだ?
「とりあえず行くぞ」
「う、うん」
「折角帰ったらネトゲしようと思ってたのに」
「あははは……」
流石ネトゲ廃人、怜はどれだけ課金してるのやら。
やや急ぎ足で三階にある会議室に向かう、二回ノックをしてから入ると悠里たち十四チームと他のチームも揃っていた。奥の椅子にはかがり先生が座っていて隣に一人の男子生徒が付いている。
「全員集まったわね、それでは状況を説明するわ。先ほど反連合組織のスカーレットレインから予告があったわ」
その一言で会議室内がざわめく、連合と言うのは魔術師国際委員会に入っている加盟国の事を指す。その数は五十を超えるが現体制に異議を唱える魔法使いは多い、その大多数は力を持つ者こそが上に立つという格差社会の実現だ。
魔力を持たない一般人はより働き、魔法使いに貢献しろと滅茶苦茶なことを言っているのだ。しかもスカーレットレインは反連合組織の中でも五指に入るほどの大きさだ。
「ここ横浜にて大規模な悪魔召喚を行い血の海に沈めウィザード学園を殲滅する、というものだわ。間違いなく一般人に被害が及ぶ、あなた達にはエリア別に広域警戒に当たってもらうわ」
「それしては少し人数が少ないんじゃ?」
悠里の言う通りだ、四チーム合計で二十二人しかいない。それに相手はかなりの熟練者になるのは間違いない、俺たちだけでは対処するのは不可能だ。
「それについては僕が説明しよう」
「生徒会長か」
「あれが……」
かがり先生の隣で待機していた生徒が前に出る、生徒会長の王ヶ峰黒斗、学園最強とか聞いたが相当出来る。
「今回の任務は生徒会と教師陣も出ます、それに魔都専属魔法使いも派遣される予定。君たちには時間稼ぎをお願いする」
「時間稼ぎね」
「この人数で出来ると思うか?」
「相手の人数と召喚される悪魔によるさ」
召喚される悪魔にもランクがある、低級の名無し悪魔から中、上級の強力な奴まで。
倒すのは至難の業だし魔法使いが居るのだから苦戦必至は間違いない。
「わかりました」
「やるしかないよな!」
「そうよ、あたしたちがやらなきゃ」
他のみんなはやる気十分みたいだな、呼ばれたからにはやるしかないか。
「では警戒区域を指示する、十三チームは元町から半径二キロ圏内をお願いするよ」
「了解、じゃ先に行く」
「お願いね」
真剣そうな表情でかがり先生が俺たちを見送る。大丈夫ですよ先生、ちゃんと帰ってきますから。
「それじゃ各自着替えて昇降口集合な」
「わかった」
「はい」
「沙希、行こう」
茉莉と別れて怜と一緒に更衣室に向かう、戦闘服に着替えるためにロッカーを開ける。
「実戦なんて久しぶりだわ」
「嘘付け」
制服を脱いで着替えを終える、俺のスタイルは高速戦闘だから防具はほぼ付けていない。赤いシャツに白地に袖なしの長いジャケットを羽織って紺のズボンを穿いてからスパイクに履き替える。
振りかえると怜が少し軽めの騎士甲冑と盾を腕に付けて待っていた、着替えるの速いなおい。
「お前は相変わらず防具類付けないな」
「俺のスタイルに合わないし、行くぞ」
「おう」
昇降口に向かうと既に錦戸姉妹が待っていた、動きやすさ重視の装備をした茉莉と如何にも魔法使いな服装の沙希。やっぱり人数が少ないな。
「…………」
「そうしたの?」
「センターが居ればもう少し楽なんだがな」
B組の中距離から遠距離の支援があれば後ろを気にせず戦えるけど、それがないと少しやり辛い。それならフォワードもう一人欲しい、悠貴と昂祐が居ればな……。
いや、そんなこと考えている場合じゃない。今は俺たちだけでなんとかしないと。
「とりあえず行こうよ、配置予定時間になっちゃうよ」
「そうだな」
俺たちは歩きだす、今はこの予告を阻止しなきゃいけない。
任務に向かう黎斗たちを屋上から見ている人影があった、長い金髪を少しサイドで結った少女だ。
「まったくこっちでも変わらないわね。私としては嬉しいけど」
風で揺れる髪を押える、彼を見る目はとても優しく見える。
「相変わらず茉莉たちとは仲良さそうだし妬けるなぁ、まあ幼馴染だからしょうがないけど」
少女は空を見上げる、もう少しで夜の帳が下りる。時間までは後少しだ。
「ま、私は前と同じようにあそこで会えばいいだけか」
身を翻し少女は一言呟く、それと同時に彼女の身体は宙に浮く。
制御が難しい飛行魔法だ、習得するのは相当時間が掛かる上級魔法でもある。
「待ってなさい、今度こそ助けて見せるから。黎斗っ!」
少し大きな声で彼の名前を呼んで、少女は空に身体を躍らせた。
『黎斗、今どこにいる?』
「茉莉と一緒に外人墓地周辺です、怜は沙希と一緒に元町周辺を探索してます」
あれから一時間、完全に陽は落ちてから俺たちは二手に分かれて見回りをしていた。念話という初級魔法で各チームの状況など色々な情報が入ってくる中、かがり先生から直接念話が回ってきた。
『その区域が第一級警戒区域だから油断しないで、もう少しで援護も来るから』
「了解です」
『それと、くれぐれも気を付けてね』
「はい」
通信が切れて周りを見渡す、今のところおかしな魔力の反応はない。
「静かすぎるね」
「逆にな、そろそろ出しておくか」
両手を前に出し唱える。
「刃よ、我が手に来い」
召喚の術式を展開すると両手に刀と剣が現れる、武器を格納する魔法だ。
刀を腰のベルトに装着して剣は背中に吊る。
「やっぱり変だよね黎斗は、剣と刀の二刀なんて」
「戦闘の幅が広がるしいいだろ」
篠宮家の武術は幅広く、どういう理由かはしらないが西洋のものまである。俺個人的には幅が広がるし嬉しい限りだ、剣と刀だけは例外だけど。
「雷切にガグンラーズだっけ」
二本とも篠宮の宝剣だ、雷を宿した反りの浅い刀の雷切と黒く片刃の片手用直剣ガグンラーズ。中学三年の時に祖父さんから受け取ったもので俺の愛剣だ。
それと保険で拳銃を二丁ほど、シグザウエルP226と言う銃で魔法使い用に改良してある。
「ああ、それにしても」
「なに?」
茉莉が少し抱きしめるように持っている真珠色の鎗を見る、身長並にある長さに突きと薙ぐことを可能としている刃。何時の間にこんな鎗を手に入れたのやら。
「ずいぶん大きな鎗だな」
「これはロンドンに居た頃に武術の師匠から貰ったやつなんだ、少し仕掛けがあるんだけどね」
それは気になるな、投げたら絶対命中とかかな? それはないか。
「どんな?」
「今度教えるね」
「勿体ぶるなよ」
「ダメ、今度」
唇に指を当てて口を塞がられる、うわなんか茉莉が可愛い。こんな仕草するような奴だったか? なんか負けた気分。
そんな呑気な会話をしている時だ。
「っ!!」
「召喚の儀式が始まってるね」
大きな魔力を感じる、方向はみなとの見える丘公園の方だ。
「茉莉、急ぐぞ! 沙希たちに連絡頼む!」
「わかった」
最大限身体強化の魔法を掛けて地面を蹴る、風の如く走って行くにつれてどんどん嫌な魔力の感覚が増えてきた。
後手に回った、急がないと被害が出る!
大きく跳んで墓地を飛び越えると公園内には異形の怪物、悪魔たちが数え切れないほど犇めいていた。奥には召喚者らしき人物の影が見える、今のところは下級の雑魚ばかりか。
「茉莉、行くぞ!!」
「うん!!」
空中で人除けの結界を張る、これでこの周囲には誰も近づかない筈だ。
着地に合わせて背中から剣を抜くモーションで斜めに振り抜く、斬線上に火炎を纏った斬撃が悪魔たちを焼き切っていく。俺たちの姿を確認して一斉に襲いかかって来る、一度剣を鞘に納めて腰に両手を回して銃を引き抜き。
「まず十体!」
飛びかかってきた十体の攻撃を避けながら頭に魔力の弾、魔弾を二丁で叩き込むと黒い霧になり消滅する。魔法使いように改良された銃器類は実弾が使えない替わり、魔力を弾丸にする機構が備わっている。
流石に企業秘密らしくどういう作りか分からないが。
『人間風情が、我らが主の邪魔をするな!!』
「悪いが人間はお前らの食い物じゃないんだよ、失せろ」
グリップの上にあるレバーを親指で上げて一度コッキングし、右手の銃の引き金を引く。
「削り潰せ暴風、焼き焦せ雷撃。サンダーストーム!」
空薬莢が飛び出ると銃口から雷撃を纏った暴風が直線状に地上から空に放たれ、悪魔たちを巻き込みながら削り潰していく。実際の薬莢に魔法を籠めるというかなり面倒だがすぐに魔法を出せるという理由で俺は愛用している。
次は左手の銃を縦に振りながら撃つと炎の剣が振り下ろされる、本来剣に付与する魔法のレーヴァテインだ。つい最近弾に籠められることが分かって初の使用だが無事に発動してよかった、炎剣は直線状の悪魔を焼いて行く。
茉莉の方を見てみると鎗を振り回しながら魔法を使わず確実に消していく、その姿は舞っているようで剣舞のようだ。
「茉莉! 俺が援護する!」
「わかった」
すると鎗に風が纏い大きく横に薙ぐと広範囲に亘って悪魔たちが討滅されていく、茉莉相当強くなったな。
「……掴んで捕え、ニイドの鎖」
「ルーンかっ」
奥の陰から詠唱が聞こえる、しかもルーン魔法だ。
ルーンを使う魔法は普通の魔法とは威力も範囲も桁が違う、その分膨大な知識が必要になる。この魔法使い相当強い!
詠唱を終えると地面から鎖が俺を捕らえようと囲う、今の弾じゃ捌き切れないな。銃をホルスターに納めて刀の柄に手を添えて溜め腰になる。
「天弦流、斬空陣『疾風』」
初動は遅いが流れるような動きで刀を抜いた瞬間一気に斬り抜ける、風を身体と刀に付与して一気に斬り抜ける業だ。悪魔ごと斬り伏せて術者の元へ向かう、こいつさえ潰せば!!
「……全てを停めろイスの棺、永遠の凍結を」
「オブリガート!?」
ふたつの魔法を並行詠唱してたのかっ、しかも次は凍結!
気づいた時にはもう遅く俺の脚は氷漬けにされていた、そして迫る悪魔たち。
「黎斗っ!」
茉莉は囲まれていてこっちに来れそうにない、やばいなこれは……。
「兄さんっ」
「ヘマしてるし」
丁度怜たちが到着したはいいがまだ数多くいる悪魔が行く手に立ちふさがる。
(ここまでか……)
あと五メートル足らずのところまで迫る、流石にこの氷を解除するには時間が足らない。
こんな所で終わるわけにはいかないのにっ、俺の目の前でギチギチと笑いながら歪な形をした腕が一斉に振り上げられる。
「兄さん! いやぁあああ!!」
「黎斗!!」
「くそっ」
幼馴染の悲痛な声が聞こえる、だが俺には痛みは来ることはない。その代りに金色の閃光が視界に入った。
「まったく油断し過ぎよ」
俺を囲っていた悪魔が一瞬にしてに消えさる、目の前にはスタッフを持った金髪の少女が立っていた。
茉莉たちは少し唖然としながらもすぐにスイッチを切り替えて討伐に戻る。
「あまり心配掛けさせないで、ただでさえ黎斗は危なっかしいんだから」
「は、はぁ」
なんで俺の名前を知ってるんだ? この娘には会ったことなんて一度もないのに。
「それじゃ少しそこで休んでなさい、私がサクッと片付けちゃうから」
優しく微笑んで彼女はスタッフ片手に走り出す、俺は月明かりに照らされた彼女に不覚にも見惚れてしまった。綺麗な金色の長髪と白い肌を月光に薄っすら輝かせながら、公園の中で召喚された悪魔を狩りながら舞う姿に。
動きはまるでダンス、そこから繰り出される数々の魔法はさらに彼女を綺麗に見せる。
『オォオオオオオオオオオ!!』
「やばっ」
見惚れてる場合じゃなかった、凍結魔法解除しないとというかまた間に合いそうにない。だが迫ってきた屈強な身体をした悪魔の頭部を弾丸が撃ち抜く、その直後にやや渋い声が聞こえる。
『油断しない方がいいぞ、篠宮』
「永岡先生……助かりました」
B組担当の永岡先生だ、世界でも屈指のスナイパーで五キロ先の目標を狙い撃つとかなんとか。今もどこから狙撃したのやら、刀で氷を切り裂いて少女の背中に回る。
「助けてくれてありがとうございます」
「いいのよ、こっちにいるのは十体と一人だけど行ける?」
「余裕です」
「それじゃ行くわよ」
背中から剣を抜いて刀との二刀で走り出す、大きな腕を振り上げた瞬間剣で根元から切断し刀を胸に突き刺す。その勢いで身体を回転させ二、三体目の胴を薙ぐ。
四体目に行こうと思ったら彼女が紅蓮の業火で他の悪魔を殲滅していた、相当な使い手だなこの娘。
「残りはあなただけ、どうする?」
「…………」
スタッフを向けたところで黒いローブを纏った術者は暗闇に消える、とりあえず召喚魔は全滅させたな。
「兄さんっ、大丈夫!?」
「怪我はしてないよ」
状況を確認して剣を鞘に納めたところで沙希が抱き付いてきた、眼尻には涙が浮かんでいて余程心配をかけたようだ。安心させるように優しく頭を撫でる、遅れて茉莉たちも駆けつけてくる。
「黎斗その人は?」
「あ、そう言えば誰なんですか?」
「私は氷狩星夏、生徒会副会長よ」
「「「「えぇえええええ!?」」」」
夜のみなとの見える丘公園に俺たちの声が響いた。
一人称で初めての戦闘は書きづらかった・・・・・・。
とりあえず星夏の登場により本格的な内容になっていきます
何卒宜しくお願いします