表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

03 その後輩、ストーカー…?

 それから数日間、様子を見てみると友里の言っていた通りだった。

 確かにあたしの目線が話を聞いてから変わったのもあるだろうから、過剰に見えた部分もあるはずだけど、明らかにたかの視線は何かとわかなに向いている。不自然だったのは、たかの横を通り過ぎていったわかなを振り返ってまでじっと見ていたことだ。


「そういえば俺、この間の模試が…」


 話にわかなを乗せようとしたのか、閃いた感じにたかが話しはじめた。残念ながらわかなはけいとに話すことでたかには気づいていない。


「あぁ、あれでしょ? 1年も2年も関係なく同じ問題の、レベル確認のやつ」


 自然な形であたしはたかの話にのり、歩き出す。そうすると必然的にたかは話し相手であるあたしと一緒に歩き出す。そうしなければ、不自然になるからだ。

 誰もこの行動が意図的だなんて思わないだろう。基本的にあたしはけいとと行動を共にしている訳だから、彼女を置いていくということはほとんどない(いや、けいとが遅くて置いていくことは結構あるけど)。

 まぁ、とりあえず。


(たかからわかなを遠ざけることに成功)



 教室に戻る少し手前でわかなとけいとがやっと戻ってきた。


「わかな〜。ナイスでしょ、あたし」

「へっ? 何が?」

「さっきの行動、意図的だよ? たかを遠ざけたの。気づかなかった?」

「気づかなかった〜!」

「夢すごっ!」

「ありがと、夢〜」


 こういうくだらない行動にお礼を言って抱き着いてくるわかなはまぁ、可愛いんだけど、単純だなぁ、って思う。んで日頃はふわふわ〜と喋るから無性に腹立つときもあったり(いや、基本自分と違いすぎるふわふわ感にはイラついているかもしれない)。簡単に言うなら、単純すぎて見ているこっちが疲れる。




「で、話を聞いてからだからそう見えるのかもしれないけれど、たかのわかなに対するあの過剰なものは何なんだろうねぇ。それともあたしが意識しすぎ?」

「いや、けいともそれは思う。最近、異常」


 けいとと二人で弁当を食べながら、最近異常行動の多いたかの話をする。はっきり言ってしまえば、ストーカー並みに気持ち悪い。

 わかなが机に散乱したごみを捨てようとしたのを見てそっとそれに手を添えて手伝ったり、局員みんなで仕事をしようと席に着いたわかなの隣にさりげなく移動してきたり、完全下校の日に玄関で待ち伏せしていたんじゃないかと疑惑があったり。日に日にエスカレートしている。

 それからは少しずつ、事情を知っている局員は痛い目線を送るようになった。悪いが、あたしもその中の一人だ。


「諦めないんだねぇ。でもアプローチの仕方が、…ねぇ?」


 正直、あたしの仲のちょっと生理的に受け付けられないような部類に入り込んできているたか。本人には自覚なし、当たり前だけど。あったら逆にこっちの居心地が悪い。


「てか、どうして今更アプローチが激しくなった? 告白して振られたのだって結構前なんでしょ」

「さぁ?」


 気にしていなかったものを気にかけていくと、多少過剰に見えてしまうものもある。だけど、今までもわかなの近くで見ていたけいとが言うのだから、たかの行動はやはりエスカレートしているはずだ。

 いったいどこで?

 変わり目はちょうど、あたしがわかな達から話を聞いた後からだ。もしかしたら、話を聞かれていた?

 別に何かをつきとめたい訳ではないが、単なる興味本位で色々と思考してしまう。考えるだけならタダ。これ以上わかなを弄るいいネタはない。まぁ、ちょっとしたからかい。単純な相手だからこそできる、不器用なあたしのコミュニケーション。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ