菫色の木綿雲
掲載日:2026/03/10
輝きに触れたき水泡
溶けてゆく面影の音符
葉雫が落ちる音が聴こえた
瞬きをする瞳
切りたての髪
喉を鳴らす笑い声
春にピッタリだねと
助手席に乗ると流れる音楽は何だろう
指折り数えて 心待ちにして
出来ればタコ焼き以外のレシピを知り
耳からも春を吸い込みたい
掻き消されてゆく刹那
痛みを懐いたままでも
俯いてもいいという川の音
想い出に撫でられ伝う雫に呼吸をする
心から歌いたい
あのひとと出会えた喜びを
お腹の底から 束の間だけだとしても
束ねてゆく 花束にして
輝きに触れたき水泡
弾ける音符
仕事帰り 緩やかな人々の喧騒が穏やかに流れ行く
春風の行く方に
あの人と数珠繋ぎに 結ばれたい 気持ち
空に浮ぶ真珠のブレスレット
連なる木綿雲は優しい菫色に染まってゆく
あの歌の輝きに触れたき水泡
柔らかく吸い込み頬を包んでくれるから
何があっても 大切にするよ ずっとずっと




