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元社畜、異世界ギルドの過労を全部暴く ~気づいたことは全部言う男の業務改善録~  作者: naganaga


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第9話 静かな一致

主人公は特別な才能もチート能力もありません。

ただの、どこにでもいる普通のサラリーマンです。

ブラックすぎる異世界ギルドで、

「それ、普通じゃないですよね?」と

思わず口にしてしまったら、どうなるのか。


 冒険者ギルドの奥にある執務室は、表の喧騒とは別世界だった。


 重厚な机。

 整然と並ぶ書類。

 窓際には、王都から届いた封書。


「君がレイか」


 低く、落ち着いた声。


 ギルド長は噂通りの人物だった。

 圧があるわけではない。だが、目だけが鋭い。


「呼び出し理由は察しているか?」


「たぶん、少し目立ちすぎました」


 レイは素直に言った。


 受付の動線整理。

 冒険者の疲労管理。

 簡易チェック表の導入。


 小さな改善だ。

 だが、成果は数字で出ていた。


「王都から問い合わせが来ている」


 封書が机に置かれる。


「“現場の改善を行った人物について”だ」


 レイは肩をすくめた。


「過大評価です。ただの整理です」


「整理ができる人間が、いちばん少ない」


 ギルド長は、ふっと笑った。


 沈黙。


「王都研修に参加しないか」


 やはり、それか。


 栄転。

 推薦。

 将来の幹部候補。


 そんな響きが透けて見える。


「数日なら」


 レイは即答しなかった。

 考えた上で言った。


「現場を見て、判断します。戻る前提で」


 ギルド長の目が、わずかに細まる。


「野心はないのか?」


「出世は、肩が凝るので」


 正直な答えだった。


 ギルド長は数秒、黙っていたが――


「いいだろう」


 そう言った。


「私も無理に囲うつもりはない」


 その言葉に、嘘はなかった。


 レイは理解する。


 この人は利用する。

 だが、同時に守る。


 感情ではない。

 利害だ。


 ――そして今、その利害は一致している。


「現場が回るなら、それでいい」


 レイが言うと、


「私もだ」


 と、ギルド長は答えた。


 その夜。


 レイは帰り道で空を見上げた。


 月が、静かに浮かんでいる。


(広いな)


 前は、見ていなかった。


 胸の奥が、少しだけ軽い。


 足元に、小さな影が寄ってくる。


「……またお前か」


 黒と白の猫。


 赤と青の瞳が、じっと見上げている。


「王都、行くことになりそうだ」


 猫は何も言わない。


 ただ、瞬きした。


 レイは小さく笑った。


「数日だけだ」


 それで十分だと思っている。


 今は。

第10話 予告

王都から届いた、一通の封書。

それは「栄転」という名の選択。

だが、レイは即答しない。

肩書きではなく、現場を見る。

噂ではなく、自分で測る。


ギルド長との静かな対話の先に、

彼が出す答えとは――。


そして物語は、次の局面へ。


********************

※更新は1日〜2日に1話を目安にしています。

是非感想などありましたらお願いいたします。

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