第5話 小さな改善、大きな波紋
主人公は、特別な才能もチート能力もありません。
過労で倒れかけたことがある、
どこにでもいる普通のサラリーマンです。
ブラックすぎる異世界ギルドで、
「それ、普通じゃないですよね?」と
思わず口にしてしまったら――
その世界で、
“気づいてしまう人間”は、どう扱われるのか。
ギルドの朝は、今日も慌ただしい。
レイは書類の山を前に、少しでも効率よく改善案を通そうと頭を巡らせていた。
「君の責任で」と、上司の冷たい声が耳に刺さる。
レイは小さく息を吐きながらも、心の中で反論の言葉を準備する。
そのとき、ナーミが休憩スペースに小さな箱を抱えて入ってきた。
「これ、家で飼っている猫です。最近、冒険者たちのストレスも多いみたいなので…」
箱から出てきた猫はふわふわと身を丸め、まるで居心地のよい場所を探すように休憩スペースの片隅に落ち着いた。
冒険者たちはその姿に思わず笑みをこぼす。
「わ、かわいい…」と自然と笑顔が広がる。
片付けをしていた冒険者のひとりが、ぼそりとつぶやいた。
「毎回鍋を作るだけで味気ないんだよな…焼くだけ、煮るだけじゃ飽きる」
ナーミはすぐに優しく声をかける。
「それなら、少しハーブやスパイスを持ち歩くだけで、味も香りも変えられますよ。栄養もきちんと取れます」
冒険者は目を輝かせてうなずいた。
「なるほど…これなら野営でもちょっと楽しくなりそうだ」
レイの心にひらめきが走る。
「温かくて香りもよく、持ち運べる…ギルドの冒険者も職員も喜ぶはずだ」
ナーミは猫の背中を撫でながら微笑む。
「ふふ、これで少しは仕事もはかどりますね」
最近、ナーミは書類整理や冒険者対応もスムーズになり、体を動かす機会も増えていた。
そのおかげか、以前よりもすっきりとした印象になってきている。
同僚の女性職員がふと笑いかけた。
「ナーミさん、動きやすくなったね。接客もずっと柔らかくなった」
だが、上司の視線は冷たく光る。
「本当にそれで問題ないんだろうな、レイ」
その一言に、ギルド内での改善案に小さな不安が残る。
猫の小さな仕草が、今日のギルドの雰囲気にどんな影響を与えるのか。
次の瞬間――冒険者たちの声と共に、誰も予想しなかった事態が動き出そうとしていた。
誰もまだ気づいていない――。
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※更新は1日〜2日に1話を目安にしています。
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⚡次回、第6話予告⚡
レイの小さな改善策が、ギルド内で思わぬ波紋を広げる…!
冒険者の野営で試されたハーブ・スパイスセット、ナーミの健康改善、猫の小さな事件――
「えっ、こんなことになるの!?」と思わず声が出る展開が待っています。
お楽しみに!




