第3話 少し楽になると、周りが見える
主人公は、特別な才能もチート能力もありません。
過労で倒れかけたことがある、
どこにでもいる普通のサラリーマンです。
ブラックすぎる異世界ギルドで、
「それ、普通じゃないですよね?」と
思わず口にしてしまったら――
その世界で、
“気づいてしまう人間”は、どう扱われるのか。
ギルドの空気が、少しだけ変わったのは――
ナーミが水を飲むようになってからだった。
「……ナーミさん、今日は早いですね」
冒険者の一人が、何気なく言った。
確かにそうだった。
書類の処理が滞らない。
呼び止められる回数も減っている。
レイは受付の横で、その様子を見ていた。
「水、ちゃんと飲んでます?」
「え、はい。レイさんに言われた通りに」
ナーミは少しだけ照れたように答える。
「喉が渇いてから飲むと、もう遅いんです」
レイは淡々と続けた。
「集中力が落ちると、
確認が甘くなる」
「それが、ミスにつながる」
ナーミは、はっとした表情になった。
「……確かに、最近は
頭がぼーっとすることが減りました」
「それだけで、仕事は楽になります」
その会話を、後ろで聞いていた冒険者が笑う。
「なんだそれ。
魔法でも何でもねえじゃねえか」
「でも、効いてるだろ」
別の冒険者が肩をすくめた。
レイは思う。
(前の世界でも、同じだった)
休めばいい。
水を飲めばいい。
それだけなのに、誰も言わなかった。
――言えなかった。
「……普通のことなんですけどね」
レイがそう言うと、
ナーミは小さく笑った。
「ここでは、普通じゃなかったみたいです」
その言葉が、
妙に胸に残った。
*しばらくは1日〜2日に1話のペースで更新予定です。
無理のない範囲で続けていきます。
よろしくお願いいたします。
⚡次回、第4話予告⚡
レイの小さな提案が、ギルド内で少しずつ波紋を広げ始める…!
ナーミの対応や冒険者たちの反応が変わり、ギルドの雰囲気にも微妙な変化が。
でも、上司の鋭い視線や小さなトラブルが、思わぬ展開を呼びそうで――
「この先、どうなるの!?」と目が離せない展開です!




