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元社畜、異世界ギルドの過労を全部暴く ~気づいたことは全部言う男の業務改善録~  作者: naganaga


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第11話 王都研修と沈殿する空気

Part2は王都研修編です。


名誉ある制度の裏側で、

何が削られ、何が見落とされているのか。


強さとは何か。

効率とは何か。

そして本当に「無理をしない」ために必要なものは何か。


少しずつ描いていきます。

研修所の門をくぐった瞬間、レイは足を止めた。


空気が重い。


静かなのに、疲労だけが沈殿している。


視線は合わない。

声は小さい。

だが書類だけは異様に整っている。


――前の職場と同じ匂いがする。


成果より先に、人が削れる場所。


レイは深く息を吸い、建物を見上げた。


王都研修。

選抜者のみが参加できる、名誉ある制度。


少なくとも、建前では。


食堂に入ると、その違和感はさらに濃くなった。


揚げ物。甘いパン。濃いスープ。

疲労している人間に追い打ちをかける献立。


その中で、一人だけ違う皿を選んでいる人物がいた。


蒸した肉と野菜。

そして小さな器に入った、澄んだスープ。


レイは思わず声をかけた。


「それ、戻し汁を使っていますか」


彼女は顔を上げ、少しだけ目を見開いた。


「……乾燥キノコです。うま味とミネラルが溶けていますから」


「捨てていないのは正解です」


「分かるんですか?」


レイはスープを一口もらう。


「植物系のうま味と、骨出汁の動物系。相乗していますね」


彼女の目の色が変わった。


そこからは早かった。


「さらに発酵酸果を少量入れると疲労回復効率が上がります。あと魚油を定期的に摂ると脳の回転が――」


周囲は誰も聞いていない。


だが彼女は止まらない。


「骨出汁と殻焼き粉を合わせると吸収率が――」


レイは静かに頷いた。


「ポーションは応急処置ですね」


彼女は真顔で言う。


「はい。食事は恒久対策です」


レイは小さく笑った。


この研修所で、はじめて“まともな資産管理”をしている人間を見つけた気がした。


空気は重い。


だが、まだ壊れていない人もいる。


それだけで、この研修は無駄ではないかもしれない。

********************

※更新は1日〜2日に1話を目安にしています。

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