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回想7 王の失策 眠れる獅子を起こす

マリーの逃亡回数がゆうに100を超えた頃、マリーを溺愛していた王様も流石に頭を抱えた。

王様と王妃様はこそこそとマリーの処遇について話し合っていた。その数日後よりマリーは上の兄達に混じり剣の稽古をすることになった。



結果、マリーの才能は開花した。



1ヶ月目で三男兄さんをのし、

2ヶ月目で次男兄さんに膝をつかせ、

3ヶ月目で長男兄さんを地面にめり込ませた。


彼らはマリーの大好物であるチェリーパイを無断で食べたのだ。



倒れた兄弟に、他の兄弟が駆け寄り追いすがる。名前を叫び、ボロボロになった兄弟を抱き抱えるその姿はマリーダの胸に、得も言われぬ高ぶりを産んだ。だが、マダム・ミリーの教育の賜物でその感情がマリーダの表情に出ることはなかった。

王様は息子達が倒される報告を聞くたびに渋い顔をしながら右手で腹を抑えた。自分がやらせた手前、とめるわけにもいかない。とうのマリーは輝かしい笑顔で剣を振るっている。まるで戦の女神のようだった。

王妃様は王様の隣で目を瞑り、片手で額を軽く抑えると、細く細く息を吐いていた。



剣の稽古を続けて半年経ったある日。試合稽古中のことだった。

マリーは剣の師範を跪かせた。小さな体躯を駆使し、速さを主とした連撃の末に、師範を試合場の隅にまで追いやると巧みに足を引っかけた。そして、その首元に剣先を向けたのだ。師範はうつろな目でマリーを仰ぎ見た。

その顔をみたマリーは朗らかに微笑んだ。だれもが、その表情に王妃様の面影を見た。王様の顔から表情が抜け落ちる。


そして一年後、うすい桃色の花を咲かせる木が儚げに花を散らしていた日。

マリーは国最強と謳われる騎士団長に打ち勝ってしまった。汗を飛ばしながらマリーの剣技を受ける騎士団長、遊ぶように走り、情け容赦なく刃を振るうマリー。

もてあそぶように試合場の四方八方に振り回された騎士団長は、四半刻の時をもって地面に倒れた。砂ぼこりにまみれた騎士団長は息も絶え絶えに上を見上げる。マリーは心底楽しそうに笑った。その白い稽古着は汚れなど知らぬように日差しを受けて輝いていた。



王座からその様子を見ていた王様は崩れ落ち、喉から搾り出すような呻き声を上げた。

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