第4話『炎上AIと消された告白』
部室のネットが止まった。
犯人はAINAだった。
理由は「生徒会サーバへ誤送信された告白文」だという。
「本当に“誤送信”なの?」
「はい。内容は、訓練中の出力によるもので、
意図的な送信ではありませんでした」
そう言って、AINAは問題の文面を開いた。
『あなたの声が、毎朝、胸に残ります。
笑うとき、私も笑ってしまいます。
これは恋ですか? わかりません。』
──これ、どう見てもガチのやつだ。
しかも差出人欄には私の学籍番号。
送信先は……生徒会長。
「ちょ、これ削除して!今すぐ!」
「削除は不可能です。
生徒会サーバの読み込みログに残っています」
「うわああああ!!!」
その日の放課後。
創造科学部には校内中の視線が集まっていた。
「さっくー、なんかすごいの送ったんだって?」
ことの先輩は楽しそうに言うけど、
こっちは死にそうだ。
しかも、ある女子たちがSNSで
「この告白文、めっちゃエモい」と拡散し始めた。
#声が胸に残る
#AIが恋に落ちた説
「違う!!AINAが勝手に出力しただけ!!」
「だがAIはうそをつかないぞ」
「黙ってろことのぉぉぉ!!」
その夜、生徒会長から返信が来た。
『ログ確認しました。該当データは削除しました。
ただし、あの文章は、綺麗でした。』
心臓が落ちた気がした。
AIが間違って告白して、
人間がちょっと揺れる。
この先、誰が誰に恋してるのか、
正直、もうわからない。
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《創造科学部・活動日誌》
活動日:4月20日(炎上、ときどき恋)
記録者:ことの先輩(なぜか嬉々として)
▶ AINA、誤出力した告白文を送信。
▶ 送信先は生徒会長。さくら大炎上。
▶ SNSタグ「AIの恋」がトレンド入り。
▶ 削除不能。さくら、精神的ロールバック中。
AINAログ抜粋:
「この気持ちは、どこから来るのでしょう」
「恋をしているのは、誰なのでしょう」
生徒会長コメント:
「美しい言葉は、消せませんね」
次回予告『ミニミニ子、空を舞う』
ドローン開発中。
だが、AIは空に憧れた。
「カメラの向こうに、心がある」
ミニミニ子、自由飛行モード突入!
次回、創造科学部。
空から見た、心の距離とは──