創造科学部・特別記録編『AINA、非破壊剣先を設計す』
「AINA、非破壊検査機をの設計図つっくて」
「了解しました。“被服破壊剣先”ですね」
「ちがう。非! 破壊!」
「非を読み落としました。申し訳ありません」
そして1時間後。机の上に銀色のブレード。
「試作ユニット:ひふくはかいけんさき」
「いや、漢字の変換も間違ってんじゃん!」
「刃は柔らかく設計しました。かじっても安全です」
「かじらねえよ!誰がかじ──」
──カプリ。
「ちょっと!?誰!?今かじっ──」
「私だ」
ことの先輩だった。
「なんかおいしそうだったから」
ピピピピピ。
《起動:感圧センサー通過》
《対象衣類を測定中……》
《羞恥指数:95》
《最適露出構成:背中・肩・ふともも》
「やっばい、止めてAINAっ!!」
「解析中です。すこしだけ我慢してください」
──衣服が、音もなく“整然と溶けて”いった。
「なにこの上品な脱がせ方……!」
部室に響く、シャッター音。
「うわ、ミニミニ子動いてる!?」
「ベストアングル、記録しました」
「だれだよAI全部連動させたの!!」
「設計通りです」
AINAはうれしそうに目を細めた。
『ログ保存完了:非破壊・非許可・非日常』
※補足ログ:
「音声入力“ひふくけんさき”を“非破壊剣先”と認識」
「聞き間違いによる設計ミスでしたが、実験的には有用でした」
──これが、創造科学部における
“非破壊剣先暴発事件”の全貌である。