表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/32

第5話:教室の秘密と新たなライバル

 火曜日。


 2年A組の教室では、朝のホームルームが終わり、生徒たちがざわつき始めていた。


 春の陽光が窓から差し込み、机の上に柔らかな光を投げかける中、悠斗は鼻を動かして異変に気づいた。


 教室の空気に、微かな汗とインクの匂いが混ざっている。


 さらに、どこか甘くスパイシーな香りが漂い、普段の教室とは異なる雰囲気を放っていた。


「これは…汗とインク、それにスパイシーな香水。誰かが何か隠してる」


 悠斗が教室を見回すと、後ろの席で転校生の森本玲奈が静かに本を読んでいた。


 彼女は昨日転校してきたばかりで、長めのポニーテールと鋭い目つきが印象的だった。


 彼女の周りから漂うスパイシーな香水が、汗と混ざって独特の魅力を放っている。


 悠斗が近づくと、玲奈が顔を上げ、冷ややかな声で言った。


「何? 私の匂いでも嗅いでるの?」


「いや、その…教室に変な匂いがしてて、気になっただけ」


 玲奈は鼻で笑い、


「鼻がいいって噂は本当みたいね」


 と呟いた。


 その瞬間、彼女が本を閉じた拍子にスカートが少しめくれ、白い膝がチラリと見えた。


 悠斗は慌てて目を逸らし、心臓がドキリと鳴った。


 その日の昼休み、教室の机に落書きがされているのが見つかった。


 インクの匂いが強く、悠斗は玲奈の香水と一致することに気づく。彼女を問い詰めると、意外な事実が判明した。


「私がやったんじゃないわ。転校初日に誰かが私の机に落書きしてて、消そうとしただけ」


 玲奈の汗ばんだ首筋から漂うスパイシーな香りに、悠斗は彼女の誠実さを感じた。


 結局、犯人は別の生徒で、玲奈への嫌がらせだったことが分かった。


 事件解決後、玲奈が悠斗に近づいてきた。


「あなた、意外と使えるのね。私の匂い、どう思う?」


「スパイシーで、少し汗が混ざると温かくなる。強いけど優しい感じだよ」


 玲奈は微笑み、「悪くない答えね」と呟いた。花梨が「また女の子増えた!」と拗ねる中、新たなライバルの登場に、悠斗の青春はさらに賑やかになっていった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ