第一章:新たな旅の始まり
リオが家を出て数日が経った。足元を見れば、石畳の街から続く荒れた道が彼をどこへ導くのかはわからない。食料は少しずつ減っていくし、夜風は寒さを増してきた。だが、それでも彼は歩みを止めなかった。魔法を学ぶ旅。それが今の唯一の目標だった。
「雑魚敵殲滅魔法……本当にこれで戦えるんだろうか?」
自嘲気味に呟きながら、リオは森の中の道を進んでいた。ふと、森の奥から奇妙な音が聞こえた。草むらの中で何かが動いている。小さな影が何匹も森の暗闇から飛び出してくるのが見えた。
「ゴブリン……?」
リオは身を低くして息を潜めた。目の前には数体のゴブリンが徘徊していた。彼らは村を襲う準備でもしているかのように、短剣や木の棍棒を握りしめている。リオは冷静に状況を見極めようとしたが、心の中では焦りが募る。
「この魔法が使えるのか……?」
リオは無意識に手を掲げ、魔法の言葉を紡いだ。
「《ネフラム》!」
淡い光が彼の手から放たれた瞬間、周囲の空気が震え、光が地面に触れた途端、小さな爆発が起こった。ゴブリンたちは瞬時にその光に包まれ、声を上げる暇もなく倒れていった。
「……え?」
目の前に広がる光景に、リオは呆然と立ち尽くした。数体のゴブリンが一撃で消滅したのだ。こんな威力を自分が持っていたとは思いもよらなかった。
「雑魚敵殲滅……だからか?」
だが、それはまだ始まりに過ぎなかった。ゴブリンたちが倒れた場所から、新たな敵が次々と現れた。群れがさらに大きくなり、リオを取り囲む。普通ならここで恐怖に押し潰されるかもしれない。だがリオはむしろ、奇妙な冷静さを感じていた。
「これが、俺の魔法の真の力なのかもしれない……!」
再び両手を掲げ、リオは意を決して魔法を発動させた。
「《ネフラム》!」
彼の放った光は、周囲に広がる敵を次々と薙ぎ倒していく。まるで雑草を刈り取るかのように、ゴブリンの群れはあっという間に消滅した。リオの目には、明らかに自分の魔法が雑魚敵を相手に無類の強さを発揮していることがわかった。
「これが、俺の魔法の本当の力……」
リオは呟きながら、初めて自分に確信を持った。