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何が書けるんだろうシリーズ

行間 ある紙片達の会話

作者: 間開

かつ、かつ、かつ。図書室のテーブルを叩く爪の音は、私が発しているものだった。

卒業までの日数もあと半年となり、焦りと苛立ちは本来立てるべきではない音の原因であり、ストレスを発散させるための方法の一つだった。


「で、あなた方はどうお考えなのですか」

「……と、申されますと?」

「校内で起こしている怪現象の説明が欲しいのです」

「……一部の者が試したくて試している、面白おかしくしたいだけの輩の話ですね」

「ええ、そうよ。誰かが止めるまで、止めにくるまで続けるつもりなのかしら。聞いているのでしょう」

 図書室内は静まり返っている。本音に繋がれた私達といえども、やはり個々の意思は持っているし。ここいらでハッキリとさせておかなければならない。

 

「言い伝えや伝承になぞらえるのは結構ですが、本来の意味とは違うものとなってしまうかも知れないと何故考えられないのですか」


 誰も答えない。名乗り出ようものなら吊るし上げられるのは明白だし、起こしてしまったものは仕方がないだろうとでも言いたいのか。

 

「移代の件も含めて、ふさわしい者をさっさと見つけて欲しいのだけれど。遊んでいる暇があればね」

「……遊んでいるつもりではなかったのですが」

 ようやく出てきたか。新入りのうちの一人が語りだす。

「捕まえてみなければ良し悪しも分からないし、無闇矢鱈と事を起こすのは良くない。でも急げと仰るのであれば、興味を持つ者を片っ端からやってみるしかないのかな、と判断したまでです」

 かつ、指が音を止める。口答えするつもり?

 

「その結果、どうなりましたか」

「外の者が嗅ぎ回って、いくつか集められそうだった者を逃しました」

「そこまで分かっているのであれば、今後どのように振る舞えばよいかも分かりますね」

「ええ、まぁ」


 前提条件と仲間に加える為の手順は共有しているし、どのようにすれば良いかは聞けば分かるはず。それなのに独断専行するというのが許せなかった。この苛つきは恐らくこれに起因している。

 

「分かったのなら、集めてきて頂戴」


 再びの沈黙。

 

 窓辺で眼鏡を外して月を見上げながら、秋山へ、「こんなのばっかりで大丈夫だと思う?」と問いかける。わかりませんが、やってみるしかないですねとの返答に、焦りは全く消えてくれない。

 皆を束ねられる者が現れる事を、白き月へ願っていた。


どこかに差し込みたい、挟みたい文章をメモがてら。

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