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魔王です。世界を征服したいと思います。  作者: 響代 恭也(ひびしろ きょうや)
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魔王、目覚める。

続きです。前回から続けて書きました。


 すっかりと風化した玉座でその男は目を覚ました。


 男は黙って周囲を見渡し、それからゆっくりと立ち上がった。男が玉座の背もたれを軽く押すと玉座の根本から折れ、崩れ倒れてしまった。


 黙って目を閉じ、思い出す。男は自分が封印されていたことを理解していた。今こうして立っていられるのも封印される直前に抵抗したからである。


「魔王様!!」


 バァン!ガラガラガラ!と大きな音を立てて開け放たれると同時に玉座の間の入り口が崩壊する。


 入ってきた者も予想外に壊れてしまった扉に鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。


「よい。気にするな。どうした」


 魔王様と呼ばれた男は掌を見せるように立て、玉座の間に入ってきた相手を宥め、要件を言うように促す。


 入ってきた者は体躯(たいく)が2(メートル)はあり、筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)なその身体に不似合いなフォーマルさを感じさせる執事服のような黒い服に身を包んでいた。


「はい!報告します!突如として城内が風化し、各所で先程のような崩壊が相次いでおります!恐らくは人間共による風化魔法でしょう。すぐにでもこの城に人間共が攻めてくると思われます。現在、城内の戦力を城門付近へ集結中です。ご命令を!」


 直立の姿勢で報告を済ませた男に対して魔王は呆れたようにため息をついた。自分の側近である目の前の男が状況を何も理解していないからである。


「……下げろ」


「は?」


「城門に集めていると言う奴らを下げろと言っている」


「な!?そ、それでは人間共の侵入を許してしまいます!」


「来やせんよ。目覚めてすぐに探知魔法を使ったが人っ子一人として引っかからなかった」


「そんなまさか!魔王城全体に風化魔法をかけておいて座視しているはずがございません!」


 側近の反応に魔王はまたため息をつく。


「そこに座れ」


「は、はい!」


 魔王は側近がその場に正座したのを見てから崩れた玉座に腰掛けた。そして、もう一度だけため息をついてから口を開く。


「貴様、何やら勘違いをしているようだから、この我がわざわざ説明してやる」


「はい……」


「そもそもお前は風化魔法だと思っているようだが、それは違う。我らは封印されていたのだ。この城ごとな」


「そんなまさか!奴らにそのようなことが出来るはずが―」


「―大勢の魔道士を生贄(いけにえ)にした大規模な封印だった。仕方あるまい」


「そんな、まさか……」


 側近の男は愕然(がくぜん)とした様子で目を開きうなだれる。


「ま、奴らのほうが一枚上手だってということだ。だが、奴らは封印するだけで我らを仕留めきれなかった。だから我の目覚めを許してしまった」


「その通りでございます!すぐにでも人間共にしかけましょう!」


 ガバっと立ち上がり、そのまま駆け出そうとする側近を魔王が止める。


 元々、反攻の隙を狙ってる最中(さなか)の封印だったため、唐突な風化現象に戸惑っては居るのだろうが、それにしても焦り過ぎである。


 魔王は立ち上がると側近の肩に手を当ててこう言った。


「あれから何年の時が経ったのか、現在の情勢がどうなっているのかもわからぬままに攻めても無駄だ。今は情勢把握に務めるべきだ。まずは城内に残っている者から数名、隠密(おんみつ)に長けた者を集めよ。その他の者は城の修繕(しゅうぜん)に回せ、そちらはお前が監督せよ。したらば疾くと行け!!」


「御意に!」


 魔王の命令を聞いた側近は目を輝かせ走り去った。


 残された魔王は再び崩れた玉座へと腰掛けて、頭を抱えた。魔王は考えていた。物の風化具合から相当の時が経っているであろう事を。


 そして、人間がただ黙って封印が解けるのを待っている訳がないと言うことを。

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