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俺がどうしても悪魔を従魔にしたい理由はいくつかあるが、1番大きいのはカムフラージュの力だ。


悪魔は、姿形を変えるのが得意なだけでなく、ただの変装とは異なり、『鑑定』系のスキルさえも誤魔化してしまうほどの高い能力を持っている。


また、知能が高いので臨機応変に活躍出来る。


あと一つ重要なのは、フェアリー属性の相手に絶大な効果を発揮するということ。


万が一、俺が何かと戦って負けるとしたら、それは神竜のリナが倒されて、リナが復活するまでの時間に俺が殺されてしまうパターンだ。


リナが倒されるとしたら、弱点であるフェアリー属性の攻撃しかあり得ない。生半可なフェアリー攻撃はモノともしないが、強い攻撃が来ないとも限らない。


その唯一と言っていい負け筋を薄めるためにも、悪魔を従魔としておきたいのだ。


そのような趣旨をリナに説明してやると、


「レージ!!頭いいんだね!頭いい人は大好きだよ。よーし!悪魔さん捕まえるぞっ♪」


と、子供っぽい言葉遣いでいながら、なぜか色気を感じる目付き、態度で俺に言ってきた。

リナの完璧な容姿もあいまって、少しドキドキしたことは秘密だ。



三時間ほどファルに乗って空の旅をして、デビリッジの付近までやってきた。今回は、ファルにはここで待っていてもらう。


ファルはフェアリー属性も持っているため、もしも悪魔の攻撃を喰らったら致命傷になり得るからだ。



俺とリナは、デビリッジに向かって歩み始める。

「楽しみだね〜♪」


まるでデートにでも行くようなテンションでリナは手を繋いできた。

正直悪い気はしないので、そのまま手を繋ぎ返し、歩幅を合わせながら進む。


すると突然、前方から攻撃が飛んできた。呪い型の攻撃なので、十中八九悪魔によるものだろう。

リナは呼吸をするように自然に攻撃をはじき飛ばし、何事もなく歩いていく。


隣で見ていると、改めてリナの強さを実感する。


しばらく細かな攻撃が続いたが、ある時から悪魔からの攻撃が止み、何事もなくデビリッジの中心部目指して進行出来ている。


そしてついに、1番大きな屋敷までやってきた。すると、閉じていた入口の扉が開き、メイド服のような物を着た悪魔が、まるで客人をもてなすかのような態度で俺とリナを中へと案内した。


少し警戒心を強めつつも、迷うことなく中へと足を踏み入れる。

外観は、古びた大きな屋敷、という感じだったが、中を見て驚いた。大貴族が住んでいてもおかしくないほどの豪華な内装と、キレイに磨かれた床、シャンデリア。


そして目の前に足音も無く歩いてきたのは、明らかに今までの悪魔とはオーラが異なり、荘厳な雰囲気を醸し出した老人だった。


「ようこそデビリッジへ。わたしはこの村を治めております、シャドルという者です。」


おそらく悪魔であろうその老人は、こちらに敵意を示すわけでもなく、むしろ丁寧に挨拶をしてきた。


こちらも名前を名乗り、軽く挨拶を交わす。


「早速ですがレイジさん、リナさん、ご用件は何ですかな?」


「単刀直入に言わせていただくと、悪魔の仲間が1人ほしくて来ました。」


「ほう?乱暴な真似をしないのであれば、あなた方がどの悪魔を誘おうとも自由ですぞ。

しかし我らは進んでこの地に集い、共に暮らしてきた。その暮らしを捨て、お主らに付いていくと決断する者が果たして現れるかはわかりませんぞ?」


「そうですね、もし全員がダメなら諦めまて、ほかの場所へ向かいます。」


「うむ、そうですか、それなら安心ですな。レイジさんが話のわかる方で良かった。余計な殺し合いをしなくて済む。」


「ははは、そうですね。こちらとしても全面戦争は避けたい。」



さらっと殺し合いなどという恐ろしい単語を混ぜて威嚇してくるデビリッジの長。

しかし、村の長の許可は出ているので、出来る限りたくさんの悪魔にあって、スカウトしてみるとしようか。



こうして再び、屋敷の外にやってきた。

今度は屋敷の反対側に行ってみよう、と思っていると、ちょうどその方向から、なにやら声が聞こえてきた。


「はい、またわたしの優勝ね!もー、これだけハンデあげてるんだから勝ってよ〜。」


「イブちゃんには勝てねーだよぉー。」

「強すぎる、、、。」

「才能の差かなぁ、でも悔しい!」

「イブちゃんカッコいい!」


はっきりと声が聞き取れるところまで来た。

会話を聞く限り、なにかの勝負事をしているのだろうか。


声の元にたどり着いた。

そこには、15人ほどの悪魔が集結しており、全員の手には、長さが均一に揃えられた棒が握られている。


すぐにわかった。

これは、剣道の試合だ。


「んー?だーれかなー?こんなところまで部外者が入ってくるの、珍しいねっ!」


先程優勝したと思われる、イブと呼ばれていた悪魔が、こちらに話しかけてきた。


「あぁ、長にはもう許可をとったよ。勝手に見学してしまってすまない。とてもおもしろそうだったからな。」


「おもしろさを分かってくれたのか!わーい!ねーね、人間さん!、、とそこの、、のんかめっちゃヤバいオーラを感じる女の子!剣道やってみない??すっごい楽しいよ!」



「いいのか?一緒に剣道をしたいとこちらも思っていたところだよ。」


「ほんと!?ノリノリだねぇ。強気な態度、嫌いじゃないよ!じゃあ早速!」


「ちょっとイブちゃん!もっと警戒しなさい!人間なんて、なに企んでるかわからないわよ!」

「んだんだ。人間に関わってもろくなことないべ。」


「えー、大丈夫だよ!長からの許可も出てるらしいしさ!頭が硬すぎるよ、みんな!」


周りの悪魔たちが、イブという悪魔のことを諌めている。だが、イブは人間に対する偏見など無いようで、むしろ興味深々といった様子だ。このタイミングであの提案をしてみようか。イブというこの悪魔ならノッてくれそうな気がする。


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