表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冥伝  作者: もんじろう
96/180

96

 鬼道城から最も近く、第二の規模をもつ支城(しじょう)大山(おおやま)城を信虎から預けられていた。


 信竜は城内に造られた美しい庭に出て夕日を浴びている。


 鬼道城を襲っていた雷雨はこちらではすでに去り、嘘のように穏やかな空に変わっていた。


 立派に鍛えあげた信竜の身体が夕日で輝く。


 信竜は着物をはだけ、上半身を(あらわ)にしている。


 右手には木刀が握られていた。


藤十郎(とうじゅうろう)


 夕日を見つめたまま、信竜が背後に呼びかけた。


「はっ」


 片ひざをつき、信竜の後ろに控える若侍が答えた。


 筋肉質な信竜とは対照的に痩せた男である。


 痩せているとは言っても貧弱ではない。


 細身ながらも、しなやかな強さを秘めた身体である。


 容姿はこれもまた、男性的な信竜とは正反対に端整で女性的であった。


 この男、名を竜牙(りゅうが)藤十郎という。


 元々は池田藤十郎という名であったが、信竜が二年前に己が一字を与え改名させた。


 藤十郎は十三年前の鬼道親子と同じく、仕官先を求め諸国を旅する浪人であった。


 歳は信竜より五つ上の二十五。


 五年前から鬼道家に仕官し、信竜付きとなっている。


 藤十郎は若くして兵法に通じ、年齢が近いこともあってかすぐに信竜と意気投合し、右腕としての地位を確立した。


 信竜は全てにおいて藤十郎の意見を訊き、まるで一心同体であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ