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冥伝  作者: もんじろう
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9

(おのれっ)


 同時に激しい怒りが爆発した。


 美しい瞳が見開かれ、のしかかってくる伝兵衛をにらみつけた。


 弱々しい細腕では伝兵衛をはねのけることはかなわぬ。


 それでも精一杯、暴れた。


 伝兵衛は柚子の抵抗も楽しんでいる。


 なぶり尽くしてから殺すつもりだ。


 後方に居る三人の侍は全員、主人の行為を黙って見ている。


 もう慣れっこであった。


 頭巾の男も微動だにしない。


 柚子を助ける者は誰も居ない。


(おのれ、おのれっ)


 柚子は悔しさに泣いた。


 血の涙であった。


(呪ってやる! 伝兵衛もこの場に居る者も全員呪い殺してやる! 信虎にくみした者たち、父母、武丸を殺した者を全て!)


どす黒い増悪が柚子の頭の中を渦巻いた。


 突風が吹いた。


 生暖かい風が、その場の全員の目を閉じさせた。


 季節は春の初めであったが、この風は春風とは違う。


 風そのものに粘着性があるかのように、ねっとりとまとわりつくのだ。


 風はすぐに止んだ。


 皆が目を開けた。


「!!」


 そして、驚愕した。

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