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冥伝  作者: もんじろう
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「あたしはお前に意地悪してるわけじゃない。逆だよ」


 冥の口調は優しかった。


「お前の望みが果たせなくなってもいいのかい?」


「うー」


骸が、うなった。


「そうだろう。あたしは別にどっちだっていいんだよ。お前はもう、あたしの物なんだから」


 冥の細い指が骸の頭から(あご)へと動き、顔をくいっと上に向かせた。


 冥の顔が骸の鼻先まで近づく。


「ただ、中途半端に終わったらお前がかわいそうだと思って、こうして協力してやってるんじゃないか」


「………」


「分かったらこれ以上、あの娘と馴れ馴れしくするんじゃないよ。自分の立場を良く考えな」


「………」


 無言の骸の頬を突然、ひるがえった冥の手のひらがぴしゃりと打った。


「うがっ」


 骸が面食らって、頬を両手で押さえる。


 敵に対してはあれほどの不死身ぶりを見せる骸が、冥の攻撃には痛みを感じているのだ。


「これで最後にしな。さもないと」


 冥の顔に何とも言えぬ恐ろしい笑みが浮かんだ。

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