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冥伝  作者: もんじろう
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 侍たちを裏切り者と罵る表情こそ恨みに歪んではいるが、美しい顔立ちはまさしく柚子である。


(柚子様は死んだはず)


 信虎は表向きは柚子は追っ手によって殺害されたと触れを出していた。


 新しい家臣たちに己が恐ろしさを知らしめる狙いがあったからだ。


 慎之助は激しく恐怖した。


 謎の化け物だけでなく、死んだはずの柚子までも現れては事態は異常である。


 もはや、この場に留まる意気地は慎之助に無い。


 多少の剣の腕前など、何の意味があろうか?


 慎之助は部下の侍たちを残し、その場から逃げようと踵を返した。


 慎之助の眼前に巨大な銃口があった。


 慎之助の頭ほどの大きな穴が、鼻先に突きつけられている。


「なっ!?」


 慎之助は混乱した。


 いつの間にか、先頭の荷車に被せてあった布がめくられている。


 物資が乗っているはずの荷台に、忍び装束の男が座っていた。


 化け物ほどではないが、大きな男だった。


 衣の上からでも分かる筋肉質な両腕が馬鹿でかい鉄砲を構えていた。


 鉄砲というよりは小型の大砲に近い。


 火薬の匂いが慎之助の鼻をついた。


 忍び装束の男と慎之助の目が合った。


 えらの張った男の顔は、ごつごつとして岩肌のようだった。


 顔中、傷だらけだ。


 ぐちゃぐちゃと捻れた短髪の頭から、額を通って鼻の辺りまで大きな傷が走っている。

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