表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冥伝  作者: もんじろう
61/180

61

 慎之助は前方に立つ大きな影を見るや「むっ」と一声うなって、抜刀した。


「何をしている! 荷を守れ! 賊を斬り捨てろ!」


 慎之助の(げき)に侍たちの呪縛が解けた。


 集まってきた侍たちを含め十人が刀を抜き、影に向かっていく。


 影が動いた。


 太い両腕を振り上げ、この世のものとは思えぬ咆哮を発した。


 あまりの声の大きさに空気がびりびりと振動し、耳をやられた何人かの侍が刀を落としそうになった。


 この怒声によって再び金縛りの状態となった侍たちに向かって、声の主が飛び込んだ。


 侍たちは、ようやく影の正体を間近で見た。


 薄汚れた布を全身にぐるぐると巻いた大男だ。


 布の隙間から覗く血走った両眼が、侍たちのそれとかち合った。


 敵の異様さに侍たちの背筋は凍った。


 そこから先は、さながら地獄絵図のような光景が繰り広げられた。




 異形の大男、すなわち骸が九鬼慎之助たちを襲う少し前。


 荷車が通る山道の脇の草むらに柚子、骸、冥の姿があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ