表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冥伝  作者: もんじろう
57/180

57

 骸の巨体が吹き飛んだ。


 まるで重さが無くなったようだ。


 地面を二、三度跳ね、木々をなぎ倒し、ようやく骸の身体は止まった。


 あれほどの不死身ぶりを見せていた骸が這いつくばったままうめき、立ち上がることさえ出来ない。


 初めて見せる苦しげな表情。


「痛いだろう?」


 冥が笑った。


「思い出したかい、痛みってやつを」


 冥が骸に近寄る。


 骸が情けない声をあげた。


 太い腕で頭を抱え、背中を丸めて震える。


「二度とあたしに逆らわないように、お仕置きしてやるよ」


 冥の瞳が光った。


 紅い舌が、ちろりと唇を舐める。


 冥が右手を振り上げた。


 その手が振り下ろされる直前。


 今度は冥の前に柚子が立ち塞がった。


 縮こまっていても巨大な骸の身体を目一杯両手を広げ、必死に庇おうとする。


 冥の右手が止まった。


 柚子の眼と冥の眼が合う。


「やめて」


 柚子が言った。


 冥の顔が更なる怒りに歪んだ。


「お前もあたしに逆らおうっていうのかい?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ