表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冥伝  作者: もんじろう
51/180

51

 致命の一撃である。


 猪熊が勝利を確信するのも、当然と言えた。


 しかし。


 先に大男と戦った者たちの剣撃と同じく、一滴の血も流れ出していない。


「むっ」


 即死のはずの大男の両腕が自分を抱きしめたことに、猪熊はそのとき初めて気づいた。


 慌てて身を引こうとするが、すでに遅かった。


 相手の頭に斬り込んだ刀はびくとも動かず、大男の両腕は万力の如く締めあげてくる。


 自由を奪われた猪熊の目前に、刀が食い込んだままの大男の頭が近づいた。


 斬られた部分の黒布が、はらりと落ちる。


「ぎゃあっ!!」


 猪熊の悲鳴。


 眼の前の大男の顔は、とても生きた人のものとは思えぬ。


 どうやら包帯を頭にぐるぐると巻いていたようだが、猪熊の斬撃によって今やそれも解け始めている。


 肉の無い骸骨のような顔の中央から、血走った両眼が猪熊をにらみつけた。


「ひぃ!」


 かつて体験したことの無い恐怖に猪熊はわめいた。


 闘志はすっかり消え失せてしまった。


「があああっ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ