44/180
44
娘の反対側には一人の童女。
小さな身体が隣の巨体のせいで、さらに小さく見える。
紫色の着物。
横一線に切り揃えられた前髪の下に青白い顔。
着物と同じ紫色の紅をひいている。
猫科の獣のような両眼。
退屈そうに、あくびをした。
まるで緊張感がない。
三人の招かれざる客。
皆、押し黙ったまま、しばしの時が過ぎた。
乱入者三人が開けた襖から見て横にある襖が、さっと開いた。
刀を持った人相の悪い侍が八人、大広間に雪崩れ込んできた。
侍のうち四人は勝蔵を守る位置に動き、残りが乱入者たちの前に立つ。
ここに至って、ようやく事態を把握した客たちが一斉に騒ぎだす。
皆、我先に大広間から出ようと、侍たちが開けた襖へと殺到した。
あっという間に大広間は勝蔵と新郎新婦、八人の侍、そして番頭の与一だけとなった。
侍たちの表情には余裕があった。
全員が勝蔵に雇われた、主を持たぬ無頼の者たちである。




