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冥伝  作者: もんじろう
4/180

4

 頭巾の男は二人の若者には興味を示さなかった。


「クキキ」


 甲高い声が男からもれる。


 笑っている。


 頭巾で表情は見えないが笑っている。


 そのとき、二人の若者と頭巾の男に近づいてくる複数の人の声が聞こえた。


 仲間の死に金縛りの如くなっていた若侍は、ようやくその呪縛から解放された。


 腰の刀を抜くと「姉様」と呼んだ娘を自らの背後へと庇った。


 姉を守ると覚悟を決めていた。


 四人の立派な身なりの侍が現れた。


伊崎伝兵衛(いさきでんべえ)っ!」


 先頭の侍を見た娘が我にかえって叫んだ。


 嫌悪が恐怖を凌駕(りょうが)したのだ。


「伊崎伝兵衛」と呼ばれた侍は頭巾の男の反対側に立った。


 若者たちを挟んだ形になる。


 伝兵衛は大柄で、やや太った男だった。


 両の眼が離れていて額が広い。


 唇は薄く、その両端はへの字に下がっている。


 二人の若者を見た伝兵衛は安堵の表情を浮かべた。


「やっと捕まえましたぞ、柚子(ゆず)姫様、武丸(たけまる)様」


 いやらしく笑った。

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