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冥伝  作者: もんじろう
39/180

39

 これが幻斎であった。


 齢、七十は越えているであろう。


 髪はほぼ抜け落ち、しわ深い肌には茶色いしみが無数に浮かぶ。


 右眼に黒革の眼帯。


 残った左眼は閉じられていた。


 口を横一文字に結び、じっと黙っている。


 修験者の装いであった。


「よくもぬけぬけとわしの前に姿を見せられたものだな」


 再び信虎の低い声。


「ひらにご容赦を」


 大虫の身体が縮んだ。


 心底、信虎を恐れている。


 否、隣に座る幻斎を恐れていると言うべきか。


「面を上げよ」


「はっ」


 大虫が頭を上げると同時に信虎の腰の刀が鞘走った。


 見事な斬撃が大虫の首をはね飛ばす。


 大虫の頭が転がり、斬られた首から血が飛び散った。


「役立たずめがっ」


 信虎が吐き捨てた。


「面目ございません」


 大虫が頭のない身体を平伏し謝った。


 声が全く乱れていない。


「むっ!?」


 これにはさすがの信虎も色を失った。


「奇っ怪な…」


 そう言って絶句した。

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