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(ただの子供だ。さっきのはまぐれだ。そうでなけりゃ、俺があんなに近づかれて気づかないわけがない)
雲次は必死に自信を取り戻そうとした。
(こいつをさっさと始末して柚子を殺す)
雲次に殺気が満ちた。
「お前…」
冥の眉が吊り上がった。
猫のような両眼が強い光を放つ。
「あたしを簡単に殺せると思ってるのかい?」
語調が荒くなった。
「自分のほうが強いと思ってる。あたしの命を奪えると思ってる」
「………」
冥の突然の気迫に雲次は怯んだ。
鋼糸で首をはねるつもりだったのが、身体が金縛りにあったように指一本も動かせない。
「気にくわないね。お前ごときがあたしを殺そうだなんて、身のほど知らずなんだよ!!」
冥が怒鳴った。
「後ろを見てみな。お前の死がそこまで来てるよ!」
冥が雲次の背後を指差した。
雲次は背後に気配を感じた。
さっと振り向いた雲次の視界に飛び込んできたもの。
それは骸の醜い顔だった。
「げぇっ!!」
雲次が叫んだ。




