表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冥伝  作者: もんじろう
33/180

33

 もし二人が柚子を騙そうとしているとして、もはや何も失うものはないのだ。


 それと、もうひとつ。


 骸だ。


 冥の隣で大きな身体を屈めこちらを見つめている骸の血走った目が、どういうわけか柚子の気持ちを安心されるのだ。


 容姿は確かに恐ろしい。


 それなのに…。


(この人には悪意がない)


 強いて言うなら直感であった。


「よし、決まった」


 冥が満足げに言った。




 その日の深夜。


 柚子たちはまだ古寺に居た。


 冥が「ゆっくり休んだら出発するよ。鬼道何とかを殺す相談は道すがらにしようじゃないか」と提案したのだ。


 確かに小諸城からの五日間、必死の逃亡によって柚子の身体は相当に疲弊していた。


 常に追っ手の影に怯え、満足に眠ることさえ出来ずに居たのだから。


 復讐の決意によって興奮していた柚子はすぐにも出発したかったが、現実に自分の足がふらつきおぼつかないのを見て、しばらく休養することに同意した。


 住職にも許しを得て、しばしの逗留が決まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ