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冥伝  作者: もんじろう
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 骸が唸った。


「何だい。お前、怒ってるのかい? うふふ、冗談だよ」


 冥が笑った。


「好きにしなよ」


 冥の許しを得た骸が草むらから三人の亡骸を持ち上げた。


 片手で武丸、片手で右京と左門を持っている。


「さあ、行くよ」


 冥が言った。


 骸はその場を後にした。




 時が過ぎた。


 暗闇をこちらへやって来る、ひとつの影。


 影は伝兵衛の死体のそばで歩みを止めた。


 背の高い男だ。


 痩せている。


 四肢が常人より、ひどく長い。


 身を屈め四つん這いで辺りを窺う姿は、まるで昆虫か蜘蛛のようだ。


 顔が小さい。


 大虫と同じ忍び装束であった。


 痩せ男の細い眼が伝兵衛の死体を確かめた。


 鼻をひくひくとさせている。


 次に痩せ男は大虫の死体へと近寄った。


 細い眼が、きらりと光る。


「大虫の兄貴」


 囁いた。


「兄貴」


 もう一度、言った。


 何も起こらない。


「俺です、雲次(くもじ)です」


 雲次の名を聞いた途端、大虫の死体がぴくりと動いた。


 そして。

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