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冥伝  作者: もんじろう
2/180

2

「止まってはなりません!」


 もう一人の侍が言った。


「右京」と若侍。


「でも、左門が」


 娘も弾む息を抑えて言った。


「左門は残ります」


 右京と呼ばれた侍は静かに言った。


「「え?」」と二人の若者。


「左門は残って追手を食い止めます」


 右京は二人の手を取って、再び走りだした。


 若者二人は心配そうに後方を気にしながらも右京についていく。


 三人は走った。


 すでに左門の姿は見えない。


 草原(くさはら)は果てしなく続く。


 右京は娘のほうに体力の限界が迫っていることに気づいた。


「姫」


 右京が言いかけた、そのとき。


 前方に立ち塞がる気配を感じ、足を止めた。


 後ろの二人が右京にぶつかりそうになる。


 いつの間に先回りされたのか?


 一人の男が逃亡者三人の前に立っていた。


「右京?」


 まだ敵に気づかない娘が言った。


 右京は答えない。


 対峙した相手をじっと見ている。


 その男から発せられる殺気が右京に向けられていた。


 目をそらせば、その瞬間に攻撃されるに違いない。


 男は動かない。


 黒い忍び装束姿だ。


 顔を頭巾で隠し表情が見えない。


「!」


 右京は息を飲んだ。


 敵の左手が掴んでいる物に気づいたからだ。


 血まみれの男の死体だった。


「左門っ!」


 右京が叫んだ。


 その声に若者二人もようやく状況を把握した。


「きゃっ!」


 娘は悲鳴をあげ、へたり込んだ。

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