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「あなたたちは何者?」
柚子が訊いた。
大男は童女のそばに立っている。
柚子の言葉は二人にかけられたものだ。
「ああ、そうか。まだ名乗ってなかったね」
童女が答えた。
猫のような眼が柚子を見つめている。
「あたしは」
そこで童女は黙った。
何か思案している。
それも束の間。
「冥」
「めい?」
「そう。そして、こいつは」
冥が大男を指差す。
「骸」
「がい?」
柚子は戸惑った。
珍しい名だと思った。
「ああ。冥と骸」
冥はそう言ってから右手で自分の口を押さえた。
何が可笑しいのか、笑いを噛み殺しているのだ。
柚子はその様子に気づかない。
「何故、私を助けてくれたのですか?」
疑問をぶつけた。
骸が巨体を揺すって一歩、柚子の方へと踏み出した。
「ううう…」
骸が奇怪な唸り声を発する。
柚子は恐ろしい姿の骸が自分に近づいてきても、不思議と嫌悪感は無かった。
倒れていた柚子を骸が起こしてくれたときもそうだった。