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冥伝  作者: もんじろう
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「はい」


 武丸が答えた。


 納得していた。


 代償は支払わねばならない。


「うふふ。お気に入りが、また一人増えたよ。嬉しいねぇ」


 女が満面の笑みを浮かべた。


「ああ、そうだ」


 女が言った。


「一応、お前にも言っておこうかね。いずれ分かることだし」


「………」


「新しくあたしの物になりたいって奴が、もう一人居てね。紹介しておくよ」


 女がふっと息を吹くと、その横に男の顔が出現し始めた。


 年配の男だ。


 武丸がよく知る男だった。


「信虎っ!!」


 武丸は驚きの声を発した。


 武丸が命を奪った信虎の顔が、確かにそこにあった。


「む。武丸か?」


 信虎が言った。


 信虎の声も武丸と同じく、どこか空虚な響きを持っている。


 それが死んだ者の証なのか?


「これはいったい!?」


 武丸が言った。


 面食らっていた。


「言ったろ。あたしは魂を集めて従わせるのが好きなんだよ」


 女が答えた。


「しかし、この男は」


 父と母を殺し、城を奪った極悪人ですと続けたかったが、怒りのあまり途中で口ごもってしまった。


「あたしはね」


 女は悪びれた様子もない。


「いろんな魂が欲しいんだよ。元々、こいつの悪党ぶりも嫌いじゃないしね。お前みたいに純粋で綺麗なのも、こいつみたいにどす黒くて汚ならしいのもどちらも(おもむ)きがあって良いものだよ」


「汚ならしいだと!?」

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