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冥伝  作者: もんじろう
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 骸の瞳が正面に立つ信虎と柚子を見た。


「ほら、いくよ」


 冥がかけ声と共に骸の頭を前方に放り投げた。


「があああああああっ!!」


 骸の頭が空中で叫んだ。


 歓喜と怒りの混じりあった、言葉としては意味をなさない大声であった。


 大口を開けた骸の頭が加速した。


 すさまじい勢いで信虎の顔へと、ぶつかっていく。


「ぎゃっ!!」


 信虎が悲鳴を上げた。


 骸の口が信虎のこめかみを一気に噛み潰したのだ。


 頭蓋骨を粉砕され、信虎は絶命した。


 信虎と柚子を捕らえていた風が消えた。


 死体となった信虎は柚子から手を離し、地に倒れた。


 骸の頭も転がり落ちる。


 柚子は自由を取り戻した。


 信竜と兵たちを拘束していた風も消失していた。


 信竜は柚子へと駆け寄ったが、兵たちは自分たちを襲った現象への恐怖から抜けきれず、その場で呆然となっている。


 背後から抱きしめる信竜の両手に引き寄せられた柚子の視線は、地面へと注がれていた。


 転がり落ち、上を向いた骸の頭。


 骸の顔は笑っているようだった。


 柚子と骸の眼が合った。


 骸の恐ろしい顔に似合わぬ優しい両眼が柚子の記憶を刺激した。


(この眼…)


 信虎を討つまでは、何度、覚えがあると思っても思い出せなかった。


 それが今はどうだろう。


 復讐という重荷を下ろした途端。

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