表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冥伝  作者: もんじろう
15/180

15

 童女でありながら、大人の女のような妖しい色気を漂わせているのだ。


 横一線に切り揃えられた前髪の下には薄い眉が覗いている。


 前髪以外は顎下の辺りまでの長さで、これもまた切り揃えられている。


 死人のごとき青白い顔に、形の良い鼻と紫色の紅をさした唇。


 もっとも目を引くのは今も伝兵衛を見つめる、その両眼だ。


 大きく、月明かりの下でひときわ強い光を放つ。


 猫科の獣にそっくりな眼だ。


 そして艶かしい。


 童女は紫色の着物に身を包み、黒い下駄を履いていた。


「あたしは」


 童女の声は大人の女のそれであった。


「悪党は嫌いじゃない。それなりに役に立つからね」


 伝兵衛に言っている。


 言われた伝兵衛は声もない。


 混乱していた。


 口を開けたまま、童女の顔をただただ見つめている。


「だけど、お前はまるで駄目だ」


 童女は続けた。


「特に顔がまずいね」


 そう言って、にやーっと笑った。


「お前をどうするかは柚子に決めてもらおうか」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ