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冥も骸に答えを期待はしていない。
眉間にしわを寄せ、侍たちの死体を検めている。
それも束の間。
「ふうん」
興味を無くしたのか、冥は立ち上がった。
襖の前に行き、無造作に開けた。
部屋に入ってすぐのところに、今度は四人の忍び装束の男たちが倒れている。
その奥には四人の女が同じく倒れていた。
八人は斬殺されていた。
この惨状を見ても冥は眉ひとつ動かさなかった。
じっと室内を窺っている。
「空振ったね」
冥が言った。
「ううー」
「そうだよ、柚子は居ない」
「?」
「まったく、お前は鈍いね。誰かに先を越されたんだよ」
「!」
骸の口が、ぽかんと開いた。
言わば怪物と言える骸の容貌が、そうしているとまるで子供のように見えた。
「があっ!!」
「大声を出すんじゃないよ、馬鹿っ!」
冥が骸の脚をぴしゃりと打った。
「他の奴らが集まって来たら面倒なことになるだろっ。落ち着いて柚子の居場所を探るんだよ」
「?」
「はあ…」