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三人の侍は息を合わせ、一斉に目前の怪人に斬りかかった。
三つの刃が、大男の首を斬り胸を突き腹を裂いた。
侍たちが勝利を確信し喜びの笑みを浮かべた、そのとき。
「「「なっ!?」」」
三人が同時に驚きの声を上げた。
三つの傷、それぞれが致命のものであったのにもかかわらず、何事も無かったように大男は立っている。
三人は傷口から一滴の血も流れださないことに気づいた。
目の前で傷口が瞬時に塞がっていく。
大虫の鋼糸は、この大男の首を確かに切断していたのだ。
しかし、すぐさま再生し繋がったのである。
どのような魔力のなせる技か?
三人の侍には分かるはずもない。
ただ茫然となった。
大男の両腕がぬっと伸びて、二人の侍の頭を掴んだ。
悲鳴をあげる間もなく、大虫と同じ運命が二人の侍に訪れた。
仲間の首なし死体がゆっくりと倒れるのを見ながら、気丈にも残った侍は刀を構え直した。
再び戦う覚悟だ。
しかし遅かった。