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冥伝  作者: もんじろう
13/180

13

 三人の侍は息を合わせ、一斉に目前の怪人に斬りかかった。


 三つの刃が、大男の首を斬り胸を突き腹を裂いた。


 侍たちが勝利を確信し喜びの笑みを浮かべた、そのとき。


「「「なっ!?」」」


 三人が同時に驚きの声を上げた。


 三つの傷、それぞれが致命のものであったのにもかかわらず、何事も無かったように大男は立っている。


 三人は傷口から一滴の血も流れださないことに気づいた。


 目の前で傷口が瞬時に塞がっていく。


 大虫の鋼糸は、この大男の首を確かに切断していたのだ。


 しかし、すぐさま再生し繋がったのである。


 どのような魔力のなせる技か?


 三人の侍には分かるはずもない。


 ただ茫然となった。


 大男の両腕がぬっと伸びて、二人の侍の頭を掴んだ。


 悲鳴をあげる間もなく、大虫と同じ運命が二人の侍に訪れた。


 仲間の首なし死体がゆっくりと倒れるのを見ながら、気丈にも残った侍は刀を構え直した。


 再び戦う覚悟だ。


 しかし遅かった。

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