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六話 森の探索

 今日の探索の目的は三つ。


 一つは周辺の地理を把握すること。

 情報に勝る武器はない、って言葉をよく聞いた気がする。

 特に他のモンスターには出くわしたくないし、万が一出会っても逃げられる方角は把握しておきたい。


 二つ目は食べ物を探すこと。

 せっかく動けるようになったんだし、何か食べたいよね。

 なにせここは森の中、食べられそうな木の実くらいあるでしょ。


 最後に、服を作ること。

 だって私まだ裸だし。

 見えちゃいけないところが丸見えだし。


 まあ、目的って言ってもそこまで意識はしてない。

 要はぶらぶらと探索しながら目ぼしいもの見つけていくっていうだけ。

 それに、せっかくのファンタジーな世界。

 楽しまないと損でしょ?

 そんなわけで、レッツゴー!


 森の中に踏み込むと、さっそく何やら美味しそうな木の実発見。

 黄色のさくらんぼ? みたいな、枝から二つセットでなっている。

 私の小さい背丈では頑張っても届かないので、蔓を伸ばして棘で切り落とす。

 おっとっと。

 地面に落ちる前に黄色いさくらんぼを手でキャッチ。

 我ながら、蔓の使い方が上手くなってきたものだ。

 では、いただきまーす。


 う……。

 ウマー!

 何これ甘い!

 めっちゃ美味しい!

 ただ甘いだけでなくて、少し酸味もある。

 例えるなら、ミカンをさらに甘くしたような味だ。

 もう一個も食べる。

 ウマウマ。

 幸せやー。

 あ、食べ終わっちゃった。

 まだあるかな?

 ぐるりと木を一周して眺めるけど、なっていたのはあれだけだったみたいだ。

 残念。


 突如ガサッと音がしたので、驚いて振り返る。

 草むらから出てきたリスのような小さな動物が、こちらを見ていた。

 違う。

 見ているのは、さっきまで木の実がなっていた場所だ。

 リスはしばらく何もなくなった枝を見つめた後、踵を返していった。

 ……うん、なんかごめん。

 というかあれ、モンスターじゃなくて普通の動物だったね。

 パッと見では区別はつかないけど、何というか、纏っている空気が違う。

 へー、この森、普通の動物もいるんだ。

 当たり前か。


 気を取り直して先に進む。

 お、怪しいキノコ発見。

 赤い傘に白い斑点。

 どこぞの配管工が好んで食べてそうな見た目だけど……。

 うん、絶対毒あるね、これ。

 私自身も植物だからか、何となく食べても大丈夫なものかどうか直感で分かる。

 安心して食べ物を探せるのは嬉しい誤算だ。


 また少し進む。

 ん?

 お、おお?

 この葉っぱいいね。

 私の手よりも一回り大きな葉っぱを見つける。

 触ってみると、思った通り丈夫だ。

 うん、これにしてみよう。

 蔓の棘を使って茎の根元から綺麗に切る。

 それを二つ用意。

 もう一つ、茎の部分だけを切る。

 二枚の葉っぱの先に穴を開けて、茎だけの部品を通して結びつける。

 最後に葉の部品を胸にあて、茎を背中に回して結べば……。


 ほら簡単!

 葉っぱのブラ完成!

 うんうん。

 意外と上手にできた。

 ちょっと葉っぱがくすぐったいけど、そのうち慣れるでしょ。

 なぜか隠す前よりあれな気もするけど、気にしたら負けだ。


 満足したので先に進む。

 あっ!

 またさくらんぼ(仮)発見!

 しかもいっぱいなっている!

 これは食べねばっ!



 気がつくと日が暮れていた。

 何を言っているのか分からないと思うが、私にもよく分からない。

 確か森に入ってから食べ物を見つけて、ブラを作って、食べ物を見つけて、食べ物を見つけて……。

 あー。

 うん。

 転生後初めての食事だったんだもん。

 仕方がないよね?


 で、寝る所どうしよう?

 辺りを見渡す。

 相変わらずの一面森だ。

 うーん。

 ミノタウロスやグギャグギャのこともあるし、あんまりその辺で寝たくはない。

 となると、木の上?


 試しに大きめの木に登ってみる。

 もちろん蔓を使って引っ張り上げましたとも。

 蔓、超便利。

 太めの枝に乗る。

 ちょっとバランスが悪いので、根っこを枝に巻き付けておく。

 うん、意外と悪くない。

 というか、根っこは地面に埋まってなくても平気なのかな?

 一応養分を吸い上げるっていう役割があるはずなんだけど……。

 あ、十分養分取ってたわ。

 主にさくらんぼ(仮)から。


 考えてみると、私の身体ってどうなってんの?

 地面から養分吸えるけど、人型の上半身からも何か食べて養分にできる。

 何その不思議構造?

 そもそも、なんで花から人の身体が生えてんの?

 花の記憶では、元々は普通の植物だったはず。

 それが長い年月をかけてモンスターへ成った、と。

 ……モンスターへ()()

 成長するってこと?

 この世界では、植物は成長するとモンスターになるの?

 何それ怖い。


 ミノタウロスやグギャグギャも、元々は植物だってこと?

 いや、あれはどう見ても動物だ。

 グギャグギャは動物かどうか怪しいけど、少なくともミノタウロスは元は動物だろう。

 そうすると、この世界の動物・植物はすべて成長するとモンスターになるの?

 何それ怖い。


 ……って、そんなわけがない。

 その理屈だと、この森の動植物の大半がモンスターになってそうだ。

 何か、モンスターへと成長する条件があるのだろう。


 そこまで考えたところで、睡魔に耐えきれなくなってきた。

 今日は動いて疲れたし、もう寝ようか。

 あー。

 食べ物に夢中であんまり探索できてないや。

 でも、今日一日でモンスターに出会わなかったし、モンスターって数少ないのかな?

 まあいいや。

 また明日、ゆっくり探索しよう。

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