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三十九話 雷ドッカン

 男性の話によると、突然門番が叫び出したかと思えば、次の瞬間には門が吹き飛ばされていたそうだ。

 門の周囲の木々は伐採されているから、見晴らしはいいと思うんだけどね。

 だからといって、あのうさ耳の門番がサボっていたとは考えにくい。

 何せ、私が魔物の死体を持ってくる度に、毎回叫んでいるからね。

 ちょっとビビりすぎだと思うけど、門番としては優秀そうだ。


 まあ、最近はキャティさんに森で解体してもらっているから叫ばれないけどね。


 だから、何か仕掛けがあるんじゃないかと私は睨んでいる。

 例えば、姿をくらましたり認識を阻害したりするような魔法や、指定した場所に魔物を移動させる魔法など……。

 どんな方法かは分からないけど、主犯の人物が魔物を仕向けたんだと思う。


 で、その後は現状の通り、残った兵が応戦して、その間に住人は逃げて……。

 ただ、森から次々と魔物が現れるため、徐々に対応できなくなっていったそうだ。


 ちなみに、門から初めに現れたのが、ミノタウロスだそうだ。

 恐らく門を壊してそのまま侵入してきたんだろう、と男性は言っていた。

 それは私の予想通りだったんだけど、次の言葉に私は耳を疑った。


「この森にミノタウロスは生息していないのだが……」


 じゃあ、あの崖で私を襲ってきたミノタウロスは何なの?

 さっき倒したミノタウロスは明らかに人の手が入っていたけど、以前見たミノタウロスは野生そのものだったよ?


 とまあ、少し混乱したこともあったけど、ここで起きたことは大体把握できた。

 今は門があった場所にも簡易的な魔物除けの結界を張っているから、これ以上魔物が村に入ることはないらしい。


 なら、後は村の中の魔物を倒して、主犯の人物を捕まえるだけだね。

 私は男性にお礼を言うと、村の北へ向けて移動を始める。

 その矢先、北東の方に何の前触れもなく雷が落ちた。


 ――は?

 え、今の何!?

 慌てて空を見上げるが、所々に雲があるだけの澄みきった空だ。

 万が一にも雷なんて落ちるはずがない。

 ということは、魔物の仕業?


 ……いいや、とにもかくにも行ってみよう。

 私は北東へと進路を切り替える。

 確か、こっちにも広場があったよね。


 この村は、南門から北へ真っ直ぐ伸びる中央通りを境に、東西に分かれている。

 分かれているといっても、東西で何かが違うわけではない。

 単に住人が分かりやすいように呼んでいるだけだ。

 ちなみに、私がさっきまで屋根を伝って移動していたのは西側だ。

 そして東側の住宅街にはミーシャの家と、柵の近くにエリューさんの家がある。

 また、東西にそれぞれメインの広場みたいなところが点在しており、今雷が落ちたのはその東広場あたりだと思う。


 そんなことを考えながら中央通りを進む。

 もうこの辺りに人はいないから、遠慮なく蔓を伸ばして移動できるね。

 っと、ここを右かな。

 横路は狭いため仕方がなく蔓を引っ込める。

 はやる気持ちを抑えて、何本か横路を過ぎると――。


「――雷撃!」


 聞いたことのある声にあわせて雷鳴が轟き、目の前が真っ白になった。


 数秒もせずに視界が戻る。

 ……び、びっくりしたー!

 一瞬私に雷が落ちたのかと錯覚しちゃったよ!


 戻った視界が捉えたのは、丸焦げになってプスプスと煙をあげる魔物らしきものと、それを鋭く睨んでいるエリューさん。

 そして、エリューさんを取り囲むように、ミノタウロスが四体構えていた。

 というか、あの焦げた物体も、よく見るとミノタウロスだよね。

 私の視線に気づいたのか、エリューさんがこちらに顔を向けた。


「お、あんた、ちょうどいいところにきたね。さすがに四体は骨が折れそうだったんだよ。一、二体引き取ってくれないか?」


 まるで薬草の買い取りのように軽く言い放つエリューさん。

 いやいや!

 ちょっ、ちょっと待って!

 ミノタウロスなんて何体も相手にできるわけないでしょ!


 エリューさんの顔にあわせて私に視線を向けるミノタウロスズ。

 こっち見んなし!

 って、そこのミノタウロス二体!

 こっち来んなし!


「何よそ見してるのさ? 雷撃!」


 エリューさんがそう言うと、再び轟音とともに視界が白く染まる。

 直前に目を瞑ったおかげで、今度はすぐに視界が戻る。

 そこには、私に向かって来ようとしていたミノタウロスが、焦げた姿で止まっていた。


「まだ息はあるから気をつけな。そいつともう一体は頼んだよ」


 ……うん。

 別に私いらなくない?


 焦げたミノタウロスの後ろにいたもう一体は、一瞬怯んだように足を止めている。

 しかし、すぐに狂ったように雄叫びをあげると、こちらに向かって突進してくる。

 焦げタウロスもその後ろで動き出そうとしているのが見える。


 ――ああ、もう!

 こうなったら()()だ!

 一体でも二体でも相手になってやる!


 私は棘の蔓四本を全て伸ばすと、前二本を身体の前でクロスさせて簡易の盾を作る。

 同時に花の蔓も伸ばしてミノタウロスに向け、右手にはウォーターボールを生成する。


 あっ、あとエリューさん!

 今度ミーシャの薬草を色付けて買わせるから、覚悟しておきなよ!

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