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宗教的原理主義派が支配するアフリカの小さな街のはるか後方の掩体壕内 第五フェーズ
掩体壕内では、ため息一つ、もれなかった。何がおこっているかは、12の車載カメラによって、随時映像として掩体壕内に伝えられていた。
クラウド・イーター20からの鮮明な映像も届いていた。14のサーモグラフィーの映像も1/35秒ごとに更新され届いていた。サーモグラフィーに反応する、周囲の外気より高い温度差を持った物体は、どんどん減っていった。しかも、サーモグラフィーでも人の形をしていなかった。
『味方がどんどん撃たれています、やめさせてください』という、フェルマー中尉の泣き叫ぶような無線の声も壕内には届いていた。
しかし、アラン・チューリング少尉の命令以外でこの機械とシステム、片一方も両方も、止まることはなかった。
その意味では、アラン・チューリング少尉は、この場の王であり、神であり、正しく戦神だった。
神は、与え奪う。
「もういいんじゃないのか」ターレス少佐が声をアラン・チューリング少尉にかけたところで、すべては終わった。




