第8話 鞍馬寺
雨の日はなんとなく嫌だな〜
でも恵みの雨ともいうしね☆
天気ひとつで気分も全然違ってくる
さあ、第8話です
お楽しみください
「我が名は武蔵坊弁慶。千本の刀を集めている。ぬしのその刀が千本目だ」
先ほど総司に完敗したことなどなかったかのように強気だ
「命が惜しくば刀を置いてゆけ。」
「ことわる」
静かに青年は答えた
いきなり弁慶は長刀を一直線に振り切った
青年はふわりとそれをかわして弁慶の頭上を舞った
ムキになった弁慶はさらに連続して長刀を振り回す
しかし青年には当たらない
美しい舞だ
ノボルと総司はじっと見ていた
突進してくる猛牛をひらりひらりと舞かわす美しき蝶
弁慶の息が乱れ始めた
すかさず青年が縦笛を弁慶の喉元に突きつけた
またやられた…
弁慶は悔しい顔をしてその場に座りこんだ
まさかこんな若僧にやられるとは…
「我が名は牛若丸」
そう言い残すと青年は歩きだした
総司たちのほうへくる
「お見事です。私は沖田総司。こちらは弟子の網野ノボルです。あなたにお供させてもらえませんか。」
「そなたたち変わった格好をしておるな。何処よりまいったのだ?」
…!?
ちょっと待て
いつからあんたの弟子になった!?
ノボルは我が耳を疑った
「あの…腹ペコなんです。なにか食べさせてください」
ノボルが珍しく口を開いた
総司はクスクスと笑った
「私はこの先の鞍馬寺まで行く。山の中故にまだまだ遠い。ついてまいれ」
山の奥深くに鞍馬寺はあった
薄暗い夜道を登っていった
「お正さん。ただいま帰りました。この者たちは迷い人です。なにか食べさせてあげてください」
お正さんは変わった格好の二人を珍しそうに見ていたが、しばらくすると、ご飯を持ってきてくれた
「牛若丸さん。お正さん。最近変わったことはありませんか?」
総司は隣で勢いよく食べているノボルをよそに本題に入った
「特に我々の周りではないぞよ。牛若、なにか気づいたことはあるか?」
牛若丸も気づいたことはないと言う
一体どうやって悪霊を探せばよいのか
総司はノボルをみた
「お正さん、牛若丸さん。私たちもこの鞍馬寺にしばらく滞在させてもらえませんか? 弟子のノボルに修行をさせたいのです」
ノボルは夢中で食べていたが総司の言葉に吹き出した
お正さんは快く引き受けてくれた
その夜、総司たちは部屋でゆっくりと眠った
翌朝、牛若丸はすでに修行のため外に出ていた
眠そうにノボルが目をあける
「ノボルさん。今日から我が天然理心流剣術を伝授します。外に出なさい」
山の中の朝は、とても清々しかった
第8話ご愛読ありがとうございます
次作もお楽しみに!